日本外国語専門学校 海外芸術大学留学科 芸術留学プログラム

 

心とデザイン


 デザインの意義は人間の心の思いをかたちにすることです。そしてかたちになったデザインが個人生活や社会生活へ、どう精神的・物質的に影響があるのかということです。
人類始まって以来、人は人とものとの深い関係で生きています。ものとは自然物、人工物が一緒になった物質世界です。自然物でも人工的影響のものは公園や風景をはじめ沢山あります。つまり人間の助けになる物質の世界すべてがそうであり、道路も家も都市も家庭用品がそれにあたります。人の手にかかっている風景も、小さな耳かきが快適なかたち(、、、) にしたい意味においてデザインの対象になるのです。 
  勿論一人で全部をデザインするわけにはいきません。手分けしてデザインすることが必要です。従ってデザイン運動の意義があるのです。さて耳かきから爪切り、家電、オートバイ、自動車、モバイル、住居、都市、地球まで総合して理想的な環境を作っているとはいえません。それぞれのデザインはまあまあですが全体の関係からみると未だしの感ありというところです。調和がとれていないということです。歴史を見ると、人間は孔子・釈迦以来、ソクラテスもプラトンも「人間とは」を追及し、パスカルの「人間は考える葦である」などの名言がいくつか生まれているが、人間と人類史以来共にある「モノ」については何一つ哲学的解釈がされていません。不思議なことです。「モノ」の世界を人間世界と結びつけて考え直さなければならない時代がきたのです。
  今までは便利だ、能率がいいから楽だとそればかり追求してきたので、確かに無数のデザインが生まれ、日本では買うものが無いと言われる程になりました。それは不遜で傲慢です。本当に心の中まで楽しめるデザインがあるでしょうか。デザインの目的には心の活性化があります。
今まで地球に不安感が無かったので、人間は地球に甘えてデザインしていましたが、今や公害や汚染、交通問題等で、住むところとしての地球自身が危うくなってきました。足元が揺さぶられているということです。地球環境を元に戻さなくてはいけません。全世界は繫がっているのです。地球の危機が吾々の共通言語になったのです。従ってデザインは地球を守り、人を守るものでなければ意味がないのです。しかも忘れてはならないのが個々に飽きのこないデザインでなければいけないのです。地域文化は根強く残るということです。戦後から物的世界は或る程度満足されたとはいえ、過去半世紀の反省からあたらしいデザインを創造することがこれからの半世紀を約束することになるでしょう。
  今こそデザインルネサンスの時です。

心とデザイン
GKデザイン機構
会長 榮久庵憲司


 



forum top

©  2008 Japan College of Foreign Languages