日本外国語専門学校 海外芸術大学留学科 芸術留学プログラム

卒業生
ロンドンで活動中!セントラル・セント・マーチン
修士課程(MA)卒業 の先輩が来校

アメリカのCollege of Designでプロダクトデザインを学ぶ卒業生来校!

名門のロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチン修士課程(MA)を卒業して現在ロンドンでアーティストとして活動する卒業生の石川さんが、来校してくれました。遠くから石川さんの活躍を見守り続ける中村先生からのレポートです♪

芸術留学・アメリカ・アートセンター、College of Design留学
イギリス・バース・スパ大学 テキスタイルデザイン卒
ロンドン芸術大学 セントラル・セント・マーチン(CSM)
ファインアート修士課程修了
2003年 海外芸術大学留学科 卒業 
茨城・つくば国際大学高校出身 

石川さんについて

石川さんは、高校卒業後JCFLの海外芸術大学留学科で学び、英国バーススパ大学のファンデーションコースに進学しました。その後、同大学に進学し、3年間の学位課程(BA)でテキスタイルデザインを学びました。テキスタイルデザインを選択した理由は、手作業を通じて表現することに興味を持っていたからです。

学生一人ひとりの個性を尊重するバーススパの校風と、プリントによる自由な表現を学ぶことで、自分自身が何を表現したいのかということが少しずつ具体的になってきました。学位課程の修了のめどが立ったころに、メディアにとらわれない、表現のより多様な可能性に興味が移り始めました。また、第2の故郷とも言うべきバースへの愛着はあるものの、やはりより刺激的な環境で学びたいという思いを強くしました。そのため、新たな活動の場をロンドンに求め、名門ロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチン大学(CSM)の修士課程(MA)でファインアートを学ぶ事を決意しました。


競争率の高さから、セントラル・セント・マーチン大学への進学は難しいだろうという周囲の予想に反して、石川さんはその狭き門に入ることができました。もちろん、この経験を通じて、自分自身の可能性を信じることができるようになった石川さんの成長は計り知れないものでした。

ファインアートコースとビデオ作品

石川さんはセントラル・セント・マーチン修士課程(MA)のファインアートコースで、ビデオ作品に取り掛かりました。その理由は、これまでの4年に及ぶ留学生活で得た体験を基にした作品のアイデアを形にするためには、慣れ親しんだテキスタイルという手法よりも、「物語」を作ることのできるビデオが最適だと考えたからです。

「ファインアート」という言葉にはなじみの無い人も多いと思いますので、少し説明します。現在英国の多くの美術大学には「ファインアート」を学ぶコースが設置されています。それは、かつて「絵画」や「彫刻」と呼ばれていたコースが統合されてできたものです。その特徴は、旧来は「メディア」、つまりどのような材料や技術そして方法を用いるかということで学科を構成していたのに対して、現在は「何を表現したいのか」というアイデアを優先して考えることに重心が置かれ、学科内で学ぶメディアを可能な限り幅広く考えるというところにあります。
そのためファインアートコースの学生は、絵画や立体、映像や音響などのあらゆる可能性の中から、自分らしい表現を自由に見つけられるようになったのです。

石川さんのビデオ作品

石川さんのビデオ作品は、3~5分程度の日常的なシーンの連続で構成されています。この作品を一見すると、バス停や家の階段などのありふれた環境の中で、大学生程度の年齢の男女が、やはりありふれた会話しているだけに見えます。

画面からは、ありふれた景色とありふれた会話が流れているだけなのですが、それを見る観衆には、不思議な違和感が伝わってきます。その理由は、画面上で演技をしている人と、その声が別人のものだからなのです。いわゆる「クチパク」が、日常的な場面を、非日常的な体験に変えているのです。

この作品のアイデアは、石川さんの4年間の留学体験そのものを表しています。自分自身の母国語でない言葉を使う体験は大きなインパクトを持っています。それまでは「話す」「聞く」ということが、そのまま「伝わる」であると安易に信じることができました。しかし留学体験はその感覚に違和感を発見します。そしてそこから、私たちが言葉を使ってコミュニケーションするということは、どのようなことであり、そこにはどのような意味があるのだろうかという疑問が生まれ、その疑問が作品を作る大きな原動力とアイデアを生み出すことになるのです。

石川さんの作品の特徴は、その違和感を否定したり強調したりするのではなく、とても丁寧に扱っているところにあります。対象となる体験を丁寧に扱うことで、客観的で合理的な「冷たい観念」に還元することなく、石川さんの個人的な感覚を皮膚感覚として観客に直接伝えることに、この作品は成功しています。

修士課程終了後の
ロンドン生活

私が石川さんに会ったのは、彼女がロンドンでの修士課程を修了し、一時帰国している時でした。作品を拝見し、2時間以上楽しくお話をすることができました。

石川さんは現在、ロンドンを拠点にアーティストとしての生活をしています。修士課程を修了した学生には2年間のビザが発給されるために、その期間をロンドンで過ごすことができるのです。
現在は、次のビデオ作品のための構想を練っています。「言葉」「コミュニケーション」そして「日常の違和感」をテーマにする石川さんにとって、ロンドンでの生活がアイデアそのものなのです。


卒業生バックナンバー

©  2008 Japan College of Foreign Languages