イタリア留学現地レポート

REPORTER

群馬県私立新島学園出身 
アジア・ヨーロッパ言語科英語+イタリア語専攻2007年卒

ペルージャ外国人大学(1年制)

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2009年1月

 

イタリアで越す2度目の冬

ネットの上に集められたオリーブ。手前で私がもっているのがオリーブの枝で、今から収穫するところです。

Buon anno nuovo! みなさん、明けましておめでとうございます♪気づけばイタリアで越す冬も二度目。こちらに来てからは常に感じていたことですが、留学期間の折り返し地点を過ぎ、帰国後のことも考えるようになってきた最近は季節が過ぎ去る早さを身にしみて感じるようになりました。
 
来春イタリアへの留学を考えている方はそろそろ本格的な準備が始まって忙しい時期になってきたのではないでしょうか?度々変わる制度にあわせていろんな書類をスムーズに用意しなければならなくて苦労したことなど、私もまだよく覚えています。到着前から「ほんとにイタリアは…!!」と業を煮やすことも多いかもしれませんが、それに負けずに頑張れば、きっと素晴らしいイタリア生活が貴方を迎えてくれることと思います。

オリーブとその起源

かごいっぱいに集まったオリーブ。これひとつで25キロになるそうです。

今回のレポートではイタリアならではの体験、「オリーブの収穫」についてお話したいと思います。先日偶然にもオリーブの収穫を手伝う機会に恵まれ参加してきたのですが、みなさんはオリーブについてどんなことを知っているでしょうか?
 
オリーブの起源はとても古く、今から5000~6000年前に地中海沿岸からアフリカ北岸一帯に自生していた野生種を栽培するようになったのが始まりです。このオリーブの栽培を地中海沿岸に広めたのは、通商・航海術に長けていたフェニキア人、また高度な文明で知られるギリシャ人、さらに大帝国を築き上げたローマ人達だったと言われています。しかし、私たちの国、日本に初めてオリーブオイルが持ち込まれたのはごく最近。400年程昔、安土・桃山時代の頃だそうで、当時、キリスト教伝道のため来日したポルトガル人の神父さんによってでした。その為、その頃の人々はオリーブオイルのことをポルトガルの油(ホルトの油)と呼んでいたのだとか。

今回収穫に参加する機会を与えてくれたStefanoさんです。はしごに登って上のほうの枝のオリーブを落としているところ。

その後、鎖国によってオリーブとの接点はまた断たれることになるものの、文久2年、慶応3年にフランスから輸入された苗木が医師、林洞海によって植えられました。これが日本で最初のオリーブの木とされています。
 
明治になってからは先覚者達の尽力によってイタリア、フランスから苗木が取り寄せられ、明治15年には果実の収穫も成されています。そして明治41年、三重、香川、鹿児島の3県が国から指定され、アメリカから輸入した苗木で試作を始めた中、香川(小豆島)だけが唯一栽培に成功しました。それゆえか、またはオリーブの枝が平和の象徴として古くから伝えられているからか、香川県の県の木・県の花はオリーブということになっています。また、最近オリーブの木の美しさが認められ、都内でもオリーブの木を植えているところが増えてきているのだとか。みなさんも探してみてはいかがでしょうか?

いざ収穫!

Stefanoさんの家からの風景。私が住むペルージャの中心地から少し離れただけですが、こんなに雄大な景色が広がっています。

そんなオリーブに花がつくのは、だいたい5月下旬から6月はじめの約2週間。小さくて真っ白なかわいいお花です。その後小さな緑色の実がつき、夏の太陽の中で大きく大きく成長します。9月の末から11月中旬頃までは塩漬け用の緑色のオリーブ、11月上旬から12月いっぱい、つまり今回私が参加したのはオイル用の熟した黒紫のオリーブの収穫です。
 
この季節、外は大変冷え込みます。みんな汚れ&寒さ対策に厚手の上着を借りて、それをコートの上から着込み軍手も装備!の上で作業に取り掛かりました。収穫方法は大まかに分けて手摘み式と機械式があるらしいのですが、今回私達が体験したのは昔ながらの手摘み式。
 
この方法のうち一番手間がかかるけれど丁寧なものがミルキングという木の枝を手でしごいて実を採る方法で、他には手のような道具で実をかき落とす方法などもあります。まず大きなネットを下にひき、その上に実を落としていきます。ひとつの枝が終わったらまた次の枝、それも終わったらまたその次、という風に同じ作業の繰り返しが朝から日が沈み仕事ができなくなるまで一日中続きます。けっこう単調な作業なので飽きてきてしまう人が多いかもしれませんが、私は逆にとってもはまり込んでしまい、おやつやお昼ごはんの時間もおしいくらいでした。

イタリアらしいオチ

オリーブの実のアップ写真。けっこうかわいいですよね♪

楽しい時間はあっという間に過ぎ、あたりはすっかり夕暮れ色に。収穫の時間がもう終わりなのは残念だったけど、実はこの後が手伝いをしたみんなの一番の楽しみでありお目当ての、集めた実を絞ってオリーブオイルにする作業です。目の前で抽出されたばっかりのオイルを味見するの、一度やってみたかったんです♪
 
しかし、相手はやっぱりイタリア人。すっごく楽しみにしながら車に乗り込みオリーブとともに抽出する機械がある場所に向かったものの、着いたとたんの一言にみんな呆然。「あ、閉まってる…??」時間が遅かったからなのか、日曜日だったからなのか…残念すぎることに、オイルが出てくる瞬間を見ることは出来ませんでした(ノД`)
 
最後にイタリアらしいといえばイタリアらしい、でもちょっと笑えないハプニングはあったものの、収穫作業はすごく楽しかったし、イタリアの文化をちょっと体験できた素敵な休日になり、本当によかったです。後日オイルは届けてくれるらしいので、今はそれをとっても楽しみにしています。早く届かないかな~♪