イギリス留学現地レポート

REPORTER

東京都立北多摩高校出身 
イギリス留学コース2010年卒

ウェールズ大学 アベリストゥス 国際政治学部

2011年1月

 

レクチャーとセミナーからなるイギリスの大学の授業

国際政治学部のセミナールームです。
あまり"教室"という感じがないので慣れてくると
講義よりこっちのほうがリラックスできます(笑)

みなさんこんにちは。増田です。学部の授業が始まって早2ヶ月が過ぎました。まだまだ慣れ切ってはいないものの、最近は少しずつこちらの授業の中でも、自分のペースがつかめてきました。日本にいたころの授業とはタイプの違う授業もあるので、最初のころは感覚がつかめず手こずりました。と、いうわけで、今回は、イギリスでどのように授業が行われているのかレポートしたいと思います。
 
イギリスの大学の授業には2種類の授業の形式があります。教授の講義を大人数で聞くLectureと15人程度のグループに分かれてディスカッションをするSeminarです。 Lectureはその授業を選択している学生全員で教授の話を聞く形式です。1年生は選択できる授業の数が少なく、みんなほぼ同じ授業を選択しているため、講義に参加する人数も多く、ひとつの講義で大体200人くらいが聴講します。このLectureで教授は授業をするわけで、Lectureの主な目的は「情報を得る」ことです。

寮に隣接している自習室兼パソコン室。24時間利用できるので授業時間以外はよくここで勉強しています。

ひたすら教授の授業を聞くLectureとは反対に、Seminarでは自分が発言することが求められます。Seminarは毎回Lectureのトピックに関連した議題が与えられていて、学生は教科書や参考文献を事前に読んでおき、クラスの中で自分の考えを発言していきます。従ってSeminarの目的はLectureや参考資料を読むことで得た情報をもとに「自分で考えること」になります。
 
このふたつの授業を支えているのがIndividual Study、すなわち自主学習です。大学では授業の時間数はあまり多くありません(学部にもよりますが、わたしの場合は週に9時間です)。SeminarやEssay(論文)の準備のため、そして授業の復習のために、あえて授業時間は少なくなっているのです。ですから、授業がないからといっても、残念ながら遊んでばかりいるわけにもいきません(笑)というのも、実はSeminarの準備が結構大変なのです。
 
Lectureで大まかな理論はわかっているといっても、やはりそれをもとに自分の考えを言葉にできるようにするためには、それなりの予習の時間が必要なのです。

イギリスの大学と日本の大学の違い

自習室からの夕焼けです。今回の内容とは
あまり関係ないのですがきれいだったので(笑)

わたしは日本の大学に行ったことがないので、正確なことはわからないのですが、このLecture、Seminar、Individual Studyの3つのスタイル、特にIndividual Studyをとても大切にしていることが、教授曰く、イギリスの教育システムの特色だそうです。 約2ヶ月、こちらでの授業を受けていても、やはりこちらの授業についていくうえでのIndividual Studyの重要性は感じています。ただ単純にSeminarの準備という意味でももちろんですが、その過程で自然に予習や復習、そしてなにより「自分の頭で考える」訓練になっていると思いますね。
 
ちなみに、わたしが1番好きなのはSeminarです。みんなと話して行く中で、自分が気づかなかった点や、自分と異なる価値観の意見を聞くのはとてもおもしろいですし、なにより大人数のLectureと違い、人と人との距離が近いので、クラスメートと友達になりやすいです。

自分の文化に誇りを持つウェールズの人々

パンフレットも英語とウェールズ語の二ヶ国語用意されています。

学部の授業以外では、先日リバプールに行ってきました。わたしの住むアベリストゥイスはかなり田舎の街で、買い物ができる場所も限られているので、ここぞとばかりに買い物をしてきました(笑)
 
リバプールやチェスターなどのイングランドの都市に行くと、わたしの住むウェールズとは違い、道路標識などが英語のみの記述なのでいつもなんとなく違和感を感じてしまいます。独自の文化や伝統を大切にしているウェールズでは、ウェールズ語の保護に積極的で、街の標識はもちろん、広告や、大学の連絡メールなんかもすべて英語とウェールズ語の二ヶ国語表記なんです。大学では同じ授業を英語とウェールズ語で行っていて、何人かのウェールズ人の友人はウェールズ語の講義を選択しています。イングランドに併合されてから700年もたつのに、これだけ積極的に自分たちの文化を守りづけているウェールズの人々の姿勢には、本当に頭が下がりますね。

2011年3月

 

国際政治サークルでブリュッセルのEU本部へ

EU本部でのサークル集合写真

2月の頭に国際政治サークルのプログラムで、ベルギーのブリュッセルにあるEUの本部の見学へ行ってきました。電車での長旅のせいで、4日間の旅行のうち、初日と最終日は移動に費やしましたが、2日目はEU議会と委員会を見学させてもらい、翌3日目は1日自由行動でブリュッセル市内を観光してきました。イギリスの話ではなくなってしまうのですが、今回はこの旅行のことをレポートさせていただきます。
 
EUはもともと、戦争の原因になる資源(石炭と鉄鋼)を共同管理することで、戦争を防ごうという目的のもと設立されました。その後資源のみではなく、経済的にも協力をするようになり、現在では環境問題や人権などの問題にも協力して解決していこうという機関になりました。簡単に言ってしまうと、「ヨーロッパの問題は国ごとに解決するのではなく、ヨーロッパの国みんなで話し合って解決しようよ」というヨーロッパの国々の共同体です。最近では政治的なつながりも深くなってきたので、政治を勉強するヨーロッパの学生には非常に興味のある機関のようですね。 と、いうわけで。今回みんなで見学に行ってきたわけです。

イギリスとヨーロッパの違い

EU議会

議会ではEUの歴史や、議会がどのように機能しているのかなどの説明をうけ、委員会の本部ではEUがどんな問題に取り組んでいるのか、どんなメリット・デメリットがあるのかなどを学んできました。サークルのメンバーの中にも、積極的にEUに参加していこうという意見の友達と、いや、ほどほどにしておこうぜ、という立場の友人がいて、説明を受けているときに激論になったりしておもしろかったです。
 
メンバーの中でEU参加国以外の国出身なのは日本人のわたしだけで、非常に部外者感を感じましたが(笑)、おそらくこのような機会でもなければ日本人のわたしがEUを見学するようなことはなかったと思うので、とても貴重な体験ができたと思います。こういう、イギリス(ヨーロッパ)の大学だからこそ!という経験ができるのも留学の利点といえますね。

ブリュッセル中心部の広場。
イギリスではこんなキンキラの装飾はみかけません。

3日目は1日自由行動だったので、仲の良い友人たちとブリュッセル市内を観光しました。同じヨーロッパとはいえ、島国のイギリスと大陸の国々ではだいぶ雰囲気が違って面白かったです。ブリュッセルの雰囲気はとても優雅な感じで、いかにもヨーロッパ!という感じでしたが、イギリスはもっと重々しい荘厳な雰囲気があると思います。
 
イギリス人の友達も「イギリスはヨーロッパ(大陸)とは違う」といっていましたし、やっぱり少し距離があるぶん感覚も違うのかもしれませんね。 正直、優雅で洗練された大陸ヨーロッパから帰ってきたときは、「イギリスどうも野暮ったいな・・・」なんて少し思いましたね。そこがイギリスらしくていいところなのですが(笑)

様々な国に行くチャンスがあるイギリス留学!

EU本部前にはベルリンの壁の一部が置いてあります。

4日間まるまる英語だけに囲まれての旅行はやっぱりエネルギーのいるものでしたが、とてもいい経験ができたと思います。島国といえどやはり日本よりずっとヨーロッパが近いので、こうやって週末に(比較的)気軽に訪れられるのがいいですね。後期が始まったのでまた忙しくなり、次はいつ時間ができるかわかりませんが、またどこかで休みを見つけてほかの国にもいけたらと思います。

2011年5月

 

大変でも刺激の多い海外生活

アベリストゥイスで撮った
お気に入りの1枚です。

学部の授業が始まる前の夏の語学講習のために8月にこちらに来てから早9カ月。今までとは違った環境で、新しい人たちに囲まれての生活でした。これまでずっと生活してきた日本という国を離れて生活をするということは体力的にも、そしてなにより精神的にとても大変なことでしたが、その分、今までとはまったく異なった新しい刺激を日々受けることができたと思います。特に今まで日本にいた時に私の中に作られた「イギリス」や「西洋」へのイメージを見直すとてもいい時間を過ごすことができています。

ゆるーいイギリス生活

ロンドンのピカデリーサーカス。よく見るといろんな国の人がいるのですが…見えますでしょうか?

イギリスは多文化・多国籍社会です。ロンドンのような大都市を歩けば、本当にいろんな人種の人とすれ違います。ロンドンだけ見ると、ここはいったい誰の国なんだろうか?という感じです(笑)私の住むアベリストゥイスは大都市から距離もあるかなりの田舎町なので、ロンドンなどに比べるとやはり現地出身者が多いですが、それでも大学にはヨーロッパ以外からも、アジアや中東、アフリカからの留学生がたくさんいますし、街を歩いていてもいろんな国から来た人たちを見かけます。そんな多様な文化の共存する社会の中での生活を通して、多様な背景を持つ人たちと自分との共通点や違いを見てきました。
 
イギリスに来る前は、こちらでの生活は日本のそれととても違うと思っていました。実際、生活様式やサイクルはかなり違う部分があると思います。わたしが住んでいる場所がかなり田舎なので(笑)余計にそうなのかも知れませんが、全体的に日本の暮らしと比べてスローペースな感じがします。
 
24時間営業のスーパーなんてものはありませんし、学校の事務所に書類の発行申請なんかをしてもとても時間がかかったり、寮のお風呂の水がでないと事務所に電話をすると「おっけー!今からすぐ行くから!」と言われて作業員が来るのは翌日だったりとか…(笑)日本の生活と比べると待たされることは多いです。せっかちな日本人には「さっさとやっちゃってよ…」とイライラすることもあるかもしれませんが、慣れてくると「ま、いっか」という感じになってきて逆に楽なもんです。自分もゆるーくしていられるので(笑)

積極的じゃない西洋人?

語学講座中のクラスメートたち。それぞれトルコ、
サウジアラビア、タイ、日本出身。

逆に、違うと思っていた部分でも意外と日本と大差はないなーと思うこともたくさんあります。特にこちらの人、一人ひとりと付き合ってみると、本当に日本での人づきあいと変わらないことを感じます。たとえば西洋の人は自分の意見を積極的に言う、といいますが、これが一概にみんなに当てはまるかというと、やはりそんなことはありません。確かに授業でこちらの学生に交じって議論をすると、彼らの積極性は強く感じます。でも、みんながみんなそうというわけではなくて、こちらの学生でも授業中ほとんど黙っているような学生も少なくはありません。確かに日本にいるときよりも積極的に発言をする学生の数が多い印象は受けますが、個々人は別に西洋人だから積極的なのではなく、その程度はあくまで個人的性格の問題のように思いました。友達づきあいで必要な条件も、日本と対して変わりません。趣味の合う人とは多少言葉が不自由でも割とすぐ仲良くなれますし、逆に趣味などの感覚が違うと、どんなに言葉が達者でもなかなか「仲良し」にはなれないものです。
 
日本で暮らしていると、いろいろな海外の情報が入ってきて、「西洋ってこういうとこ」「西洋人ってこういう人」というイメージができてきます。本当の部分も、誇張の部分もありますが、特に人の性格に関しては、同じ国や宗教の人でも人によって本当にまちまちで、なかなかひとくくりにできません。留学というのはそういう「国籍」や「人種」のイメージを越えて、自分たちは一人と一人の人間なんだ、大して変わらない同じ人間なんだな、ということを再確認する機会になっています。
 
自分たちと他の国の人たちの人としての本質が思っているほど違わないこと、そして文化面などで違う部分は「あ、この人はこういう風に私と違うんだな」ということを「知る」こと。グローバル化する昨今の世界のではとても大切なことではないかと思います。

2011年7月

 

留学生活1年目、大変だったことは?

ギリシャ アテネのパルテノン神殿

皆さんこんにちは、増田です。6月の頭に後期の期末試験を終えて、イギリス留学生活の1年目が終了しました。3年もあると思っていた留学生活ですが、1年目があっという間に過ぎてしまって、もうあと2年しか残っていないのかー、という気分です。こちらでの日々はもちろん大変なことがたくさんありましたが、その分密度が濃く、充実した日々でした。
 
留学でやはり1番に苦しんだのは語学の問題です。わたしが学んでいる国際政治学では文献を読むことや問題について議論をすることが非常に重要視されているようで、母国語で学ぶ場合と比べると壁はかなり厚かったように思います。
 
英語の文章を読んで、自分の考えをまとめ、セミナーでクラスメイトと英語で議論をしていく、というのは、やっぱりとても大変なことでした。

「イギリス人並み」を諦めてスッキリ

同じくギリシャのテッサロニキで撮ったものです。
ギリシャの気候は日本の蒸し暑いそれと似て
懐かしかったです(笑)

9月に授業が始まったころは必須のリーディングを終わらせることができず、クラスでも友達が何を言っているのかわからない時があり、言いたいことも言えず、あげく学問の性質上答え合わせができないので心細かったのを覚えています。
 
言葉の問題は最初に比べればかなり改善されてきたようには思います。授業の予習はどうにかですが終わるようになりましたし、セミナーでもある程度、自分の立場を表現できるようにはなってきました。ただ全体的にはどちらかというと「できるようになった」というよりは「できないことに慣れた」という方が正しいかもしれません。
 
年度が始まった頃のわたしは、なんでもイギリス人並みにやりたい、と思っていましたが、やっぱりそれは無理なんですね。わたしにとって英語はあくまで「外国語」ですし、厳しいことを言ってしまえば、英語それ自体でどんなに頑張ってもネイティブにはかないません。頑張って、ネイティブに近づくことはできても、そこには越えられない壁があります。
 
同じ学部にいる先輩はこちらで10年近く学んでいますがそれでも「毎日言葉の壁を感じている」と言っていました。「ああもうこればっかりはしょうがないんだな、彼らと同じようにはできないんだな」、と思うようになって、「じゃあもう今できることをできる限りでやってく以外にないんだな」、というスタンスになってから、かなり焦りは少なくなりました。開き直りとでも言うのでしょうか…(笑)そうやって諦めてできる限りで頑張っているうちに、少しずつ進歩していった気がします。焦っているうちは実際に進歩があってもなかなか自分の成長を感じられず、自分がまるでだめな気がして、負のスパイラルでした(笑)

国際政治学。日本人である利点

ウィーン美術史博物館にて。時間のある夏休み中に
いろいろな場所でいろいろなものに
触れたいと思っています。

言葉がイギリス人と同じようにできないことは、確かに不利な部分です。と、同時に、わたしが日本人であることは、彼らとは別の視点・別の価値観を持っているということであり、それはこの学問をやるうえで非常に大きなアドバンテージ(利点)になっていると思っています。国際政治学は西欧生まれ、西欧育ちの学問です。その中で彼らとは違うバックグラウンドを持つ人間だからこそ、その中にある矛盾や不公平性に気づける部分があります。
 
外国で勉強するということは、楽しいばかりではないと、この1年でつくづく感じました。言葉の壁はその中でも最大の課題でしたし、きっとこれからも大きな壁であり続けるでしょう。語学力を伸ばす努力をしていくこと、そして同時に、そのハンデをカバーする長所を伸ばしていくこと、そうやってこの先も頑張っていくことで、他にはない自分のスタイル、学問上の強みを、この先の2年間で身につけていけたらいいと思っています。
 
現在は9月の末に新学期が始まるまで、約4カ月の夏休みに入ったところです。休みに入ってさっそくギリシアとオーストリアに行ってきました。かなり多くの留学生は夏休みを利用して帰国しているようですが、わたしはせっかく夏のヨーロッパを体験する機会でもあるので休み中はこちらに滞在します。年度中は時間がなくて勉強ばっかりだったので、他にも旅行などできたらいいな、と思っています。

2011年9月

 

夏休み!WWOOFを利用して農場で働く

グラスゴーにて。スコットランドの民族衣装
キルトを着てバグパイプを吹く大道芸人。

みなさんこんにちは、増田です。6月の頭に後期の期末試験を終了し、約4カ月の長ーい夏休みに入りました。期間も長い分、留学生の中には帰国した学生も多いようですが、わたしはせっかくビザもあるんだし…ということで夏休み中もこちらで過ごすことにしました。
 
そのうちの約1カ月、WWOOFというプログラムを利用して有機農場の手伝いをしてきたので、今回はそのレポートをしたいと思います。
 
WWOOFというのはWorld Wide Opportunities on Organic Farmsの略で、ボランティアを募集する有機農場の集まりです(日本にもありますよ!)。ボランティアは受け入れ先の農場で決まった時間働く代わりに、農場はボランティアに宿泊先と食事を提供する、という仕組みになっています。WWOOFはメンバー制で、1年ごとのメンバー登録があり、そのために一定の金額(イギリスの場合20ポンド)を支払う必要がありますが、その後宿泊費と食費を払わなくていいので、わたしのように夏休み中宿なしな人(学生寮の契約が年度内のみのため)やバックパッカーなどが多く参加していました。
 
WWOOF UKの場合、ホスト(受け入れ先)は南はフランスにほど近いチャンネル諸島から、北はスコットランド最北のシェトランド諸島まで、イギリス全土にあります。今回わたしが滞在させてもらったのはスコットランド最大の都市グラスゴーから南東に約1時間ほど行ったサウス・ラナークシャーにあるコミュニティです。イギリス北部スコットランドの文化に興味があって、以前から行ってみたい!!と思っていたのでこの機会に滞在してみることにしました。

まるでロード・オブ・ザ・リング!スコットランドの魅力

スコットランド紙幣(上)とイングランド紙幣(下)
ともに5ポンド

ひと口にイギリスといっても、南部のイングランドと北部のスコットランドは本来別々の国で、イギリス連合王国を構成するメインであるイングランドとはかなり異なる部分があります。スコットランドには独自の銀行があって、イングランドやウェールズ(イギリス西南部)で使われているものとは柄の違う紙幣を発行していますし、公用語には英語のほかにスコットランド固有の言語であるゲール語が定められています。話す英語も方言や訛りが強く普段メジャーなニュース番組などで話されている英語とは全く別物に聞こえて、噂には聞いていたけれど…かなりリスニングに苦労しました(笑)
 
地形も割合穏やかな平地が多いイングランドに対してスコットランドは山が多くなりますし、イングランドよりも田舎で現代的なビルなどの数も少ないので、見た感じの雰囲気もかなり違う印象を受けました。映画ロード・オブ・ザ・リングは、スコットランドの先住民族でもあるケルト人の神話に大きな影響を受けているのですが、その物語に魅かれてイギリスに来たわたしにとっては、スコットランドはまさにイメージ通りの“イギリス”!で、非常にときめく滞在でした(笑)

共同生活で英会話力アップ

WWOOFで田起こしをしている最中。景色がいい場所だったので天気がいいと気持ちよかったです。

WWOOFでの仕事の内容はホストによって様々なようですが、わたしが働いたところでは主に野菜の収穫や草むしり、田起こしや苗木の植え替えなどをしました。
 
さして難しい仕事ではないのですが、単調な肉体労働も多く、“スコットランドらしい”天気である雨や霧の日は仕事前に覚悟が要りましたね(笑)あとはいままで勉強で使っていた言葉と全く違う言葉を使ったので(国際政治学では「苗床」とか「堆肥」なんて言葉は使わないので…)一通り言葉を覚えるまでは仕事内容の説明を理解するのに少し苦労しました。
 
その反面、いろんな国から来た他のボランティアとの宿舎での共同生活はそれぞれの国のことを話したり、言葉を教え合ったり、とても楽しかったですし、より生活に密着した英語(学部で使うような小難しいものではなくもっとスタンダードなもの)を使う実践訓練になったと思います。他に日本人がいないのは学部での生活と同じでしたが、ルームシェアで朝から晩まで24時間みんなと一緒の生活は、学部にいるよりもはるかに生活の上で英語を使う訓練になりましたね。滞在の後半では自分のスピーキングの正確さが上がったことを自分でも感じました。

一番のお気に入りの街 インヴァネス

週末旅行に行ったインヴァネスの街並み

WWOOFでの仕事は週末が休みだったのでそこの連休を使って、インヴァネスに旅行もしてきました。かの有名なネス湖の近くで、スコットランドの中でも北部、ハイランド地方の首都と言われる場所です。
 
グラスゴーから電車で3時間ほどのインヴァネスは建物も街の雰囲気もザ・イギリス!ヨーロッパの優雅なそれとは違う、重々しく古めかしい建物が多く、いかにもおとぎ話や魔法使いの物語ができそうな昔のイギリスの雰囲気を留めた街で、ギリシャやオーストリア、ドイツなど、何か所か訪れた今年の旅先の中でも断トツ1番で気に入った街でした。ただ緯度が高いこともあって8月だと言うのに気温は最高気温でも15度前後…とっても素敵な街だったけど、冬のことを考えると住むのはやめとこう、と思う場所でした(笑)
 
イギリスの大学は夏休みが長いので、いろいろなことに挑戦する時間があります。学部の友人の何人かは国外に語学留学に行ったり、数週間のインターンに行ったりしているようですし、バックパックでいろんなとことろを旅行している人もいます。わたしは準備に出遅れてこの夏はWWOOFのみでしたが、来年はもう少し早めに予定を立てて、もっといろんなことに挑戦してみたいですね。スコットランドがとても気に入ったので、来年はバックパックで最北といわれるオークニー諸島やシェトランド諸島なんかにも行けたらいいと思っています。
 
ともあれ、このレポートが掲載されるころには大学生活2年目が始まっているはず…。楽しみ楽しみな来年の夏を迎えられるよう、まずはしっかり頑張っていこうと思います(笑)

2011年12月

 

大学2年目!紛争や経済、軍事面など多角的に国際政治を学んでいます

大学の国際政治棟。きれいでスタイリッシュで素敵なのですが、レンガ造りの「イギリス!」な学部がちょっとうらやましかったり…。

みなさんこんにちは増田です。10月から、大学での2年目が始まりました!私の所属する国際政治学部では、2年生になると科目が選択制になるので、「いよいよ本当に自分の興味のある分野の勉強が始まるぞ!」という感じです。
 
今期は「International Conflict Resolution」、「Global Justice」、 「Theorising and Realising Duties to Distant Strangers, War, Politics, and Strategy」の3つ科目を選択しています。
 
「International Conflict Resolution」は日本語で言うところの「紛争解決学」。特に国内紛争やテロに焦点を当てて、国際社会がどのように解決していくべきかを議論しています。「Global Justice」では先進国と発展途上国の間での貧困の問題を基礎に、私たち(先進国の人間)は途上国の人たちにどのような責任があり、どのように接していくべきなのか、主に貿易などの経済的な問題に絞って学んでいます。「Theorising and Realising…」、これは戦略学を専攻している私は必修の科目なのですが、主に安全保障や勢力均衡(国家間の力関係が一定に保たれた状態のこと)、抑止力(強い軍隊を持つことによって、相手に攻撃を思いとどまらせること)などを勉強しています。

他学部の講義に参加!学びの幅が広がります

大学内のカフェは美術館と併設なので、最近は展示が見える席に陣取って勉強するのがお気に入りです(笑)

そのほかに実は今年度は、他の学部の授業の聴講に行っています。というのも、最近私が興味を持っているのが、メディアが各国の軍事行動(戦争や人道介入など)に与える影響なのですが、他学部でメディア関係の面白そうな科目を見つけたもので…。
 
同じ大学の「フィルム学部」に「メディアポリシー」を扱った授業があったので、個人的に教授に連絡をして、もぐりこませてもらっています(笑)。教授が親切な人で、講義だけでなく、セミナーへの参加も許可してくれたので、正規登録している学部の授業の予習にひいひい言いながら、こちらの予習もしているところです(笑)。正式に履修登録をしていなくても、先生と個人的に連絡を取って授業を受けたりできるのがウェールズ大学の良さですね!学部生は正式に登録できる科目数が限られているので、臨機応変に対応していただけるととても助かります。

議論慣れした3年生たちと同じ授業でがんばっています!

先輩の所属するバスケ部の試合を見に行きました。大学のSports Centerにはジムもあります。今年はヨガのクラスに参加しようと思ってます。

ウェールズの大学は基本的に3年制なのですが、1年生で必修の基礎を終えると、2・3年生は同じ授業を受けます。ですから、同じディスカッションのグループの中には、議論慣れした3年生もいるわけで…うーん、苦しいというか、学ぶことが多いというか…(苦笑)
 
そして全ての大学かは確証がないのですが、イギリスの大学では多くの大学が1年時の成績を卒業成績に換算しません。したがって2年生たちは、「今年から本番…!」という感じで本気モードになっています。去年本気モードでやっていてもアップアップだったのに…みんなが本気になったら私はついていけるのかしら?と、不安になっていますが…、今年も頑張ってこようと思います!(笑)