アメリカ留学現地レポート

REPORTER

佐賀県立佐賀西高校出身 
アメリカ・カナダ留学コース2009年卒

ニューヨーク市立大学(4年制) バルークカレッジ 人材管理学専攻

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2012年1月

 

国籍が違えばミーティングも大変?!

ロックフェラーセンターのクリスマスツリー

ニューヨークが一番華やかになる12月になりました。今年は10月末に初雪が降ったかと思えば、11月はずっと暖かい日が続き、12月に入った今もまだ雪は降っていません。私はといえば、期末試験が近くなりプレゼンテーションやペーパーを完成させるのに忙しい毎日を送っています。
 
今回は、Organizational Behavior(組織行動学)のクラスでプレゼンテーションを行いました。私たちのグループは、全米に店舗を持つゲームソフト店における「従業員とストアマネジャーの教育プログラムの発展」をテーマに選びました。
 
グループはスペイン人、2人のドミニカ人、ロシア人、そして私の5人。メンバーはみな良い人で、ミーティングも毎回和気あいあいとしたとても楽しいものだったのですが、問題点もありました。

セントラルパークの紅葉

それは、互いが互いの話を聞かないこと!特にスペイン人とドミニカ人メンバーはとにかく自分の意見を話そうとし、他の人が話していても気にせず、自分の思ったことを話し続けてしまうのです。3人が同時に違うことを話している時もあり、割と控えめな私とロシア人は呆然とすることがしばしば(笑)
 
そんな時はとりあえず流れに身を任せ、要所要所で要点をまとめる役になり、話題がそれて広がっていくミーティングをなんとか軌道に戻したりしていました。 それ以外はみんな積極的に意見を出し合えるとても良いグループで、控えめな民族と陽気で押しの強い民族、そんな個性が良く出ていてバランスが取れていたなと思います。

ボストンでの就職活動

ボストンキャリアフォーラムの会場で

11月半ばに「ボストンキャリアフォーラム」が行われました。ボストンキャリアフォーラムとは、実に100社以上もの日系企業が集まり、説明会や面接を行う合同ジョブセミナー。留学生にとって最大のキャリアイベントです。会場にいる日本人は、当たり前ですが英語が堪能で、日本人同士でも英語を話しているような人が大勢おり、英語を話せるということはもはや特別なことじゃないということをひしひしと感じました。
 
また、各企業のブースには、一次選考を通過した人の名前が張り出してあるのですが、その中には日本人ではない名前もたくさんありました。
 
日系企業といえども、才能のある人材を日本人以外からも積極的に探しており、優秀な外国人とも競い合っていかなければならない時代になっているということを目の当たりにしました。 語学の習得を主な目的としている語学留学とは違い、正規留学は語学ができて当たり前、その上で経験を積み高度な知識を身につけることが期待されています。今までは気づかなかった、自分のような留学生に対する企業の期待を感じた2日間でした。

アメリカ人の家族と過ごすThanksgiving

プラッツバーグで過ごしたThanksgiving Day

アメリカでは、11月末にThanksgiving Day(感謝祭)という祝日があります。今年は以前通っていた大学のあるプラッツバーグへと遊びに行き、仲の良いジャズの先生の家で過ごしました。先生と奥さんは私のことをまるで娘のようにかわいがってくれて、アメリカに家族ができたような気分です。  
感謝祭当日の午前中はテレビで NYCにあるMacy’sというデパートの有名なパレードを観てのんびり過ごしました。
 
タイムズスクエアのカウントダウンやロックフェラーセンターのツリー点灯式もそうですが、こういう大きなイベントは実際に行くよりもテレビで観た方が楽しめます。実際に行っても人が多くてイベントはほとんど見えないし、寒いのです(笑)。暖かなココアを飲み、おしゃべりしながら過ごす時間は、お正月に家族でおせち料理を囲んで箱根駅伝を見るのにどこか似ていて、穏やかで幸せでした。
 
午後は、先生がゲストを迎えに行っている間に私と奥さんでディナーの準備をしました。マッシュポテトやターキー、甘く煮たコーンやカボチャなど伝統的なアメリカのThanksgiving ディナーは、普段自分では作らない料理なのでとても珍しく、美味しかったです。アメリカの家庭の雰囲気を満喫でき、最高の感謝祭となりました。久々に都会の喧噪から離れ、とてもリラックスできました。

2012年4月

 

穏やかなNYの冬

冬休みに日帰りでワシントンD.C.に行ってきました。

今年のニューヨークの冬は、比較的暖かくて過ごしやすい冬でした。私にとってニューヨークシティでの冬は3回目で、過去2年間は学校が休みになるほどのすごいブリザード(吹雪)や3月になっても道にまだ残っている氷などが印象的でした。
 
でも生粋のニューヨーカーの友達によると、そんな壮絶な寒さの冬の方が珍しく、今年のような冬が普通だそうです。とはいえ気温が朝や夜に氷点下まで下がるのは普通なので、日本に比べれば寒いのだと思います。

学生最後の大きな試練!交渉スキルを磨く

バレンタインデーの可愛い飾り付け

さて、いよいよ私の4年間にわたる留学生活最後の学期が始まりました。今学期取っているのは4クラス。「多国籍企業経営」「従業員開発・教育」「対立・衝突の管理(Conflict Management)」、そしてビジネススクールの学生が、最終学期に必ず取らなければいけない「ビジネスポリシー」というクラスです。最後の学期というだけあり、どのクラスも予習、授業、復習どれを取っても大変で、毎日なんとか生き延びているという感じです(笑)
 
特に大変なのは「Conflict Management」ですが、とても変わっていて面白いので、今回はその紹介をしたいと思います。「Conflict Management」のクラスでは、主に交渉を行います。トピックは企業の買収や契約に関するものがほとんどです。1週間に2回ある授業のうち、1回目の授業でペアを作り、そのトピックについて交渉します。例えば今週は、私は石油会社の開発担当者、パートナーは地域にガソリンスタンドを経営するオーナーとなり、私の会社がいくらでそのスタンドを買い取るか、従業員の雇用や保障はどうするかなどを交渉しました。75分授業のほとんどを交渉に使うのですが、本当にあっという間に時間が過ぎ、互いに納得できる結果にまとめるのがとても大変です。
 
そして、2回目の授業ではクラスの各ペアの結果を比べて評価し合います。そのときには私だけではなくみんなが戸惑い、合意に至るのに苦労しているのがよく分かります。「交渉は準備の量によって出来が決まる」と教授はいつも言っていますが、まさにその通りです。交渉中は模擬交渉だと分かっていながらも、相手が声を荒げると(アメリカ人は熱くなりやすいのです)びっくりしますが、それが相手に伝わらないように平静を装いながら、手に汗握る対抗論を繰り広げています。私は交渉とか議論とかいうものが本当に苦手で、それを克服するためにこのクラスを取ったのですが、2週目にして途方に暮れています(笑)。 学生最後の大きな試練だと思い、特に入念に授業の準備をするようにしています。

学外でも様々なことにチャレンジ

レストランウィークに行ったミッドタウンにある高級フレンチレストラン

忙しい毎日の中での1番の楽しみは食事です。学校はマンハッタンのど真ん中という立地なだけあり、昼食を食べる場所はよりどりみどり。学校内のカフェテリアから始まり、近くには各種ファストフード、ラーメン、寿司、中華、ベトナム、タイ、インド、イタリアン、バーガー、ダイナー、カフェ、フレンチ…など、いろいろあります。学生に優しい値段のところばかりで、中には「CUNY」(ニューヨーク市立大学)の学割が利くところまであります。
 
グループプロジェクトの後にメンバーと食べたり、他専攻の仲の良い友達と待ち合わせて食べたりしますが、すごくリフレッシュできて楽しいです。次の授業まで長い時間が空くときは地下鉄に乗って少し遠いところまで行って美味しいと評判のレストランでご飯をたべ、その後近くのスタバで勉強、ということも多々あります。

ワインと美味しいご飯で毎日の勉強のパワーを補充

ニューヨークには本当に数えきれないほどの素敵なレストランがあり、まだまだ開拓したいところがあります。外食はお金がかかるので、夕食はなるべく自炊をするようにしていますが、たまに少しおしゃれをしてちょっと良いお店で食事をしたりします。
 
先日は「レストランウィーク」というイベントが開催され、普段なら高くてとても行けないようなお店が安い特別コースメニューを設定していたので、友人と行きました。たまにそういうハイエンド(高級)なお店に行くと背筋が伸びて、自分の中の物差しやアンテナが成長するので、すごく大切だと思っています。
 
そして、そういうもっともらしい理由をつけた「美味しいものを食べたい」というワガママをきいてくれる両親に感謝です…(笑)

2012年9月

 

バルークカレッジを卒業!人との出会いが宝

従業員トレーニングのクラスメイトと教授

長い長い期末試験、ファイナルプロジェクトとの戦いが終わり、ついに「ニューヨーク市立大学バルーク校」を卒業しました。JCFLでの1年間を含め、SUNYプラッツバーグ校での1年半、そしてバルークカレッジでの2年半の計5年間で目標にしていた「大学卒業」を達成でき、本当にほっとしています。
 
4年間のアメリカでの大学生活の成績も、最優秀にはわずかに届かなかったものの、満足のいく結果に終わり、有終の美を飾ることができました。
 
良い成績はとても嬉しいですが、その他に学生生活で得たものはそれ以上に大切なものばかりです。特にJCFLやアメリカで出会った人々は本当に素晴らしく、いつまでも大切にしたい存在となりました。 クラスメイトにはいつも恵まれ、授業は大変でしたが毎日クラスに行くのが楽しみで仕方なかったです。一番心に残っているのは、今学期の「従業員育成」のクラス。ちょうど私の誕生日と重なった授業の日に私が教室に入るとクラス全員が揃っていて、みんなでバースデーソングを歌ってくれました。あまりに嬉しくて泣いてしまったのもいい思い出です。そんな人々に別れを告げるのはとても悲しかったですが、「また会いに来よう」と思える人がいるのは、本当に幸せなことですね。みんなそれぞれ新しい道へと進んでいくので、次に会った時のみんなの成長が楽しみです。

夢だったオランダ旅行。旅先でたくさん友達ができたのは、留学で身に着けた英語のおかげ。

オランダ、フェルメールの故郷デルフト

卒業後、アメリカを出国し1人で卒業旅行に行きました。目的地はオランダ。私は美術館を巡るのが大好きで、特に好きなフェルメールやゴッホなどのオランダ絵画を見るための旅でした。
 
画家たちが生きたその場所で、その土地の空気を吸い、その土地のものを食べ、そしてあるべき場所にある美術を見る。ずっとやってみたかったことだったので、とても幸せなひと時でした。
 
また、オランダではずっと会いたかった友人との再会も果たし、3年前に別れて以来の再会だったので思い出話に花が咲きました。また、1人旅のつもりで行ったのですが、宿泊先のホステルで友達がたくさんでき、旅の半分は新しい友達と過ごす賑やかなものとなりました。ロシア、イギリス、ドイツ、ヨルダン、台湾…さまざまな文化的背景を持つ人々と一緒に旅先で過ごす日々はどこか非現実的で、忘れられないものになりました。この旅で英語を話せることの素晴らしさを再認識しました。お互いの国の言葉は知らないけれど、英語を使って意思疎通(そつう)ができる、笑い合える、友情が芽生える。英語という1つの言語を使えるだけで、人生はずっと豊かになります。それは、英語圏から出た時に、強く実感できることなのかもしれません。

実はもう就職して働き始めています

ホステルで知り合った新しい友達

私は卒業後1年間アメリカで働けるOPTという制度を使わず、すぐに日本へ帰国し、7月から仕事を始めました。私の場合は、去年の夏に東京で行われた「キャリアフォーラム」(合同企業説明会兼採用の場)で出会った企業から内定をいただくことができました。自分が大学で専攻してきた人材管理学に深く関わり、やりたいと思っていた仕事なので今からどんな経験ができるのか楽しみです。
 
私は留学当初から就職についてはとても心配していました。日本の就職活動のスケジュールに合わせることが難しいと思っていたからです。でも最近は留学生向けのキャリアフォーラムが世界各地で行われるだけでなく、企業の方も留学生のために秋入社を受け入れることが多くなり選考が年に数回ある企業も少なくありません。

3年ぶりの再会を果たした友達

新卒の扱いが変化してきているため、卒業し帰国した後に日本の学生と同じようなスケジュールでの就職活動を行い、内定をつかんだ友達も何人もいます。私の周りの留学生はみんな、時期は違えど順調に就職が決まっています。何が言いたいかというと、就職活動の方法は日本の大学生と同じやり方でなくても沢山あるということです。それでも不安が残る時は、同じ境遇の留学生に相談したり就活イベントに参加するといいと思います。それに、JCFLの先生方も心強い味方となって下さります。先輩の経験談を聞くのもいいかもしれません。
 
就職活動への不安を理由に留学を思い留まらないでください。アメリカでの学生生活に全力を注ぎ、成長を続けようとすれば結果はついてくると思います。

人間として成長できた留学生活。たくさんの人に経験してほしい!

卒業式で、一番仲のいい友達と

留学生活は決して楽なものではありませんでした。いつでも課題や試験に追われ、休みの日も遊べないような時期もあり、自分のできなさ加減に落ち込み、文化の違いで悩むときもありました。それでも留学して本当によかったと思えるのは、そのような苦労なんて吹き飛んでしまうくらいの素晴らしい出会いや発見、楽しさや面白さにあふれる生活だったからだと思います。
 
フルタイムで働きながら学校に通う友達を見ては自分ももっと頑張らなければと刺激を受け、友達の優しさや気遣いに触れては自分の行動を見直し、そして違う文化のことに触れては興味を持ち、毎日新しい発見や反省がありすごく充実した大学生活でした。それもすべて周りの人々のおかげだと思っています。1人娘の私を快く海外に送り出して精神的にも経済的にも全面的に支えてくれた両親、一緒に色んな事を経験し辛い時にはいつもそばにいてくれた沢山の友達、新しいことを教えてくれて将来のキャリアについてアドバイスをくれた先生達、 旅先で出会った人たち、すべてに感謝してもしきれません。この先自分がしていくことを通して、恩返しをしていきたいです。
 
私がいつも思うのは、日本の大学に行ってもアメリカの大学に行っても、学べることは自分の行動次第だということ。それでもなぜ海外に行くのかというと、やはり学業以外の部分で沢山学べることがあると思うからです。文化の違いを尊重する心、日本を愛する心、そして世界の広さを実感できます。いつかどこか別のところでも書いたかもしれませんが、 誰もが「海外に出たい」と思うわけではないからこそ、今留学をしたいと考えている人にはその気持ちを大切にしてほしいです。そして幸運にも留学できるチャンスがあるならぜひ掴んでほしいです。
 
今まで私のレポートを読んでくださり、本当にありがとうございました。留学を目指す皆さんの飛躍をお祈りしています!