国際ボランティア科
国際ボランティア科馬場先生の植物画

馬場 節子先生

パワーの源は木々

 

元々モノ作りの人間なので、何かを作ることが好きです。大学では美術教育とテキスタイルを専攻しました。染物は今でも続けていますよ。スカーフとか小物とか。布のリサイクルになるし、その収益を寄付することもできるから一石二鳥でしょ。染物は染料として草木を使うせいもあって、生活は植物との関わりが自然と深くなっていますね。今住んでいる所では、『里山を守る会』という会の企画・運営をしていて、休みの日には自然観察をしたり、田んぼや畑仕事をしています。何気なく生えている雑草が絶滅危惧種だったりするの!いつも色々な発見があって面白いよ〜。仕事の日も、毎朝植物画を描きます。昨日と今日で表情がどんどん変わってしまうので、その日のうちに1枚仕上げるのが目標。それから、色々な種を集めるのも趣味です。あの殻の中に命が凝縮されているってすごい事じゃない?行く先々で種を拾ってくるので、家には大きなタネだんすなる物があります。  

誰かのためのアート

 大学卒業後は、制作活動を続けながら色々な仕事をしました。美術の専門学校やカルチャーセンターで染物を教えたり、環境アセスメント法案発足前のプロジェクトチームに参加して調査をしたり。建設省で広報の仕事をした時には日本各地に足を運び、野山や河川の実態を取材しました。働きながらも年数回は畳2枚程もある作品を作って展覧会に応募していたのですが、社会に出て色々な世界を知るにつれ、そうやって自己表現だけを追求していくことに疑問を持つようになってきて。もっと人のために活かせないかな、と。そんな時に、たまたま『青年海外協力隊』の広告を目にしたんです。募集部門に染物があり、派遣先の1つにバングラデシュがありました。バングラデシュとは染物で使う布の生産地として学生の頃から交流があったので、行ってみよう!と。


青年海外協力隊を経てJCFLへ

 バングラデシュという国で、女性に染物の技術を教えながら現金収入の道を開くというのが与えられた課題。イスラム圏なので女性に対する制限があるし、全てが交渉の世界で、最初は買い物1つするにも苦労しました!でも、そのうち協力してくれる人が出てきて、地元の草木を使ってできる染物を教えることができたんです。

帰国後は海外協力隊の広報誌の編集に携わっていました。国内はもちろん、海外の国々にも年に数回取材に行きましたよ。すごくやり甲斐があったのですが、あまりにハードで体調を崩してしまって。不整脈が続き、前歯がグラグラしてきた時には、さすがに自分でも危ないかなと思いましたね。笑 美術教育を学んだりして若い人と結びついていたいという思いも元々あったので、今がその時期かな、と。若い人に自分が海外で見てきた色々な事を伝えたい、ボランティアに志を持っている人の仲間になりたい!と思い、JCFLに来ました。

国際ボランティア科馬場先生が青年海外協力隊員だった当時

ボランティアについて

ボランティアって‘暇な時にやるもの’ではなくて、責任あるものだから。考えているだけではダメだし、情熱だけでもできない。私は、若い人には自分という小さな枠に縮こまらないで、自分をどんどん解放して欲しいんです。それは、第三者と触れ合う中で少しずつ自分というものが見えてきて、初めてできることだと思う。ボランティアって、実は人のためではなく最終的には自分のためになるんです。入学時は目がドロンとしていた子も、色々な体験や出会いを通して目にだんだん光が宿ってきます。足を運び人と触れ、色々な物の見方を持って、自分の生きる道を見つけて欲しいです。

ボランティアをやってみたいと思っている人へ

‘右手か左手を空けておきなさい’といつも学生に言うんですけど、自分のことだけで一杯一杯だったら他の人のことなんて見えないでしょう。でも、やっぱり幸せも平和も自分1人でなれるものではないと思うんです。だから、みんなが少し心に余裕を持って、相手を思いやれるようになれたらいいなと思います。たくさんの人に会い、色々な体験をして欲しい。そして自分を知ることから始めて下さい。