元ANAキャビンアテンダントの先生

キャビンアテンダント・エアライン科 元ANA(全日空)キャビンアテンダント 佐藤 さおり先生

ベンチャー企業でデスクワーク

大学卒業後は、今は大手ですが、当時はまだベンチャー企業だったアパレルの会社に入りました。人事部に配属され、PCに向かって深夜残業と休日出勤の毎日で、新聞を読む時間もないくらい忙しく過ごしていました。ある日、久しぶりに新聞を開いてパッと目に飛び込んできたのが、ANAのキャビンアテンダント採用広告。これだ!と思いました。学生時代、知り合いが制服姿の客室乗務員の絵葉書をくれたことがあって、それを見ながら「私もいつかこの服を着るな」とふと思ったことがあったんです。他にも背中を後押しするような事があって、CAを目指すことにしました。

人事の経験が役立った★ANAのキャビンアテンダント採用試験

1年も経たないうちの転職でしたが、受かる自信はありました。採用業務に関わるうちに、どういう人が採用されるのか見分けがつくようになっていたんですよ。自分も同じようにやればいいんだって。笑) どういう人が受かるかというと、堂々としていて、にこやか、生き生きしている人。逆に無表情で何を考えているのか分からないような人はダメですね。顔つきの良い人ってこんなに違うんだ!とその時思いました。仕事と採用試験の日が重なったらそこで諦めようと思っていたのですが、3次の最終試験まで日程も面接も全てとんとん拍子に進んで、ANAキャビンアテンダントの内定を頂けました。


エアライン業界は女の世界?男の世界?

女の世界の空気を読むのが苦手だったので、最初は嫌な職場なんだろうなと思っていたのですが、意外に平気でしたね。CAはみんな男でした。笑) お客様に見えるところでは優雅ですが、裏では手早く何でも片付けて、性格もサバサバしていて。男性がいない職場なので、「これは男の人にお願いしちゃおう」という甘えがないんです。何でも自分たちでやる良い癖がついたと思います。

9年間のキャビンアテンダント生活

当時は新人キャビンアテンダントも国際線に乗務できたので、1年目からヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ、アジアと色々な国へ行きました。4年目からエコノミークラスのパーサーになり、5年目からは資格を取ってファーストクラス担当に。ファーストクラスは、同じ機内にあっても新人CAは中に入れない大奥のような世界なんです。笑)

ファーストクラスでは主にギャレーという機内食の準備を担当していました。ファーストクラスでは10名、ビジネスクラスでは40名近くのお客様のお食事を温め、瀬戸物のお皿に綺麗に盛り付けるまで私1人の仕事。少しでも早く盛るには?みんなが動きやすい配置は?と改良を重ねてまるで職人でした。笑)クルーの組み合わせやお客様によって毎回異なるサービスと違って、ギャレーの仕事は前の仕事の反省点を活かせる数少ない仕事なんです。厨房のような忙しさですが楽しかったですよ〜。

国際線キャビンアテンダントのフリータイム♪

元ANAキャビンアテンダントの先生観光したり舞台を見に行ったりすることが多かったですね。当日だと意外にいい席が安く買えるんですよ。NYにステイする時は時間があればミュージカルを観に行っていました。あとは、乗務したクルーたちと食事に行ったり。フライトごとに違うチームになるので初対面同士ということが多いのですが、そういうことは全然気にせず食事に行きますし、そこでいきなり彼氏の話やグチが始まったりするんです。笑) 今考えると不思議な世界ですよね。

CAに向いているのはこんな人!

何でも食べられて、どこでも寝られる人!妙に潔癖だったり苦手なものが多かったりすると、行き先によってフライトが憂鬱になってしまう人を見てきたので、それはもったいないかな、と。それから、目の前の相手が何を言おうとしているのか、すぐに察知できる力は大切ですね。「毛布ちょうだい」と言われた時に毛布をさっと渡すだけでなく、‘この人はどうして寒がっているのかな’‘どこから乗り継いできたのかな’とか深読みすると、単にサービスが細やかになるだけでなく、事故や病気などを未然に防げる場合があるんです。

印象に残っているフライト

その日のフライトはしし座流星群が見えるという日で、お客様から「見えないんですか?」という質問があったんです。早速機長に聞きに行くと、「今丁度見えてますよ」と。すぐに「ただ今、しし座流星群がご覧になれます!」と機内アナウンスをして、お客様とクルー全員で窓の外を眺めました。外は一面星の光。あちこちで歓声があがっていました。そんな風に、滅多に見られないものをお客様にお見せして、喜んで頂くのが好きでしたね。

JCFLのキャビンアテンダント・エアライン科の教員に

キャビンアテンダントを退職した後、秘書や企業研修の営業などの仕事を経て、JCFLに入りました。入学した時はボサ〜っとしていた学生が、みるみる綺麗になっていくのを見るのは本当にやりがいがあります!みんな半年くらいで、座っている時に自然と両膝が閉じるようになるし、敬語もきちんと使えるようになるんですよ。あっという間にその辺の大学生や短大生と比較にならないくらいピシッとしてきます。JCFLに入ったばかりの頃は指導の厳しさに驚いていましたが、今は学生たちが社会に出た後のことを考えると、ここで苦労しておいた方がいいのかなと思いますね。でも自分が打たれ弱いというか(笑)、褒められて伸びたいタイプなので、学生も良いところを見つけて褒めて伸ばそうと思っています。


キャビンアテンダントに憧れている人へ

キャビンアテンダントを辞めた時、両手いっぱいにおみやげをもらったような感じがしたんですよ。色々な経験を積ませてもらって視野が大きく広がったし、毎日刺激が沢山ありました。他の仕事で若い女性が同じような経験をしたいと思ったら、かなりの英語力とかスキルを要求されると思うんです。気になっているなら、一度は挑戦してみないともったいない!本当にそう思います。

JCFLのエアライン科は、JALやANA、オランダ航空、エールフランス・・と色々な航空会社のキャビンアテンダント出身の先生がいるので、多面的なキャビンアテンダント像を伝えられると思います。航空会社によって求めるキャビンアテンダントの資質は全然違うので、自分の個性に合ったキャビンアテンダントを目指してみて下さい。学生たちはみんな真面目なので、良い意味でつられていつの間にか色々なことができるようになると思いますよ。

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