イギリス留学現地レポート

REPORTER

慶應義塾大学出身 
海外芸術大学留学コース2008年卒

ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ デザイン専攻(3年制)

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2010年4月

 

芸術大学ではない大学で芸術を学ぶ!

大学の庭。暖かい日はここでランチを食べたりします。奥に見えるのがメイン校舎です

こんにちは。JCFL海外芸術大学留学科卒業の市川です。 現在イギリスのロンドンにあるGoldsmiths University of LondonというところでB.A.(学士課程)のデザインコースを専攻しており、2年生です。
 
大学のあるNew Crossという街はロンドンのサウスイーストに位置していて、人種の多様なロンドンの中でも、特に様々なバックグラウンドの人たちが住んでいる地域です。
 
Goldsmithsという大学は芸術専門の大学ではなく、London Universityに属する総合大学のひとつなのですが、その中でも芸術関連の学部が多い気がします。

日本語のレッスン風景

有名な卒業生にもアート関連の人々が多く、BlurのDamon Albarnや、Sex Pistolsのマネージャー、Malcolm McLaren、アーティストのAntony Gormleyといった人たちがいます。
 
日本語のレッスン風景またソサイエティと言われる、同好会のようなもの?の活動も盛んで、僕はジャパンソサイエティという、日本文化を紹介するソサイエティに所属しています。
 
そこでは毎週日本語のレッスンをしており、改めて日本語の奥深さを知り、自分自身学ぶところも多いです。

ロンドンのデザインスタジオで受けた刺激

ロンドンのデザインスタジオ

さて、僕が専攻しているB.A.デザインコースについてですが、このコースの特色は、多ジャンル横断的にデザインを学ぶというところだと思います。
 
グラフィックやファッションデザインの大学が専門に特化した教育を行うのとは対照的に、Goldsmithsではデザインに何ができるかという可能性を探るような教育をしています。

プロジェクトの様子

最近は、KINというGoldsmithsの卒業生が起ち上げたデザインスタジオの協力で、NOKIAという携帯電話会社のリリースする新製品のプロモーションをテーマに、ウィンドウディスプレイのデザインのプロジェクトをやりました。
 
このプロジェクトでは、ロンドンにある彼らのスタジオを訪れてプレゼンテーションをしたのですが、実際にデザインスタジオの空気を肌で感じる事ができて、とてもいい刺激になりました。
 
目下はというと、うちのコースでは2年次に、6週間以上のインターンシップが必須なので、日本とロンドンでいくつかのデザインスタジオにコンタクトしている最中です。 では、今回はこのあたりで。

2010年6月

 

デザインコンペの授賞式

受賞者のアナウンス

去年の冬から今年の頭にかけて、友人と二人で(彼もJCFLの卒業生です)取り組んでいたデザインのコンペティション、”One Show College Competition 2010”で賞をいただけることになったので、急きょ、5月にニューヨークのXchangeというホールで行われた授賞式に参加してきました。
 
僕らはNOOKAというファッションブランドのメイン商品である、腕時計のパッケージデザイン部門で参加していたのですが、ロンドンからの参加はどうやら僕たちだけのようでした。

グッゲンハイム美術館

このコンペティションは国際コンペなのですが、やはりオーガナイザーがNYベースなので、アメリカの大学の学生が多かった気がします。
 
授賞式の結果はブロンズでしたが、現地のデザイナーの方々や、学生、チューター、また他国からの参加者とも話ができ、充実したセレモニーでした。もちろん少し長めに滞在して、NYの観光も楽しんできました。

ロンドンでインターン

スタジオの様子

今年の3月くらいから、ずっとインターンシップ先を探していて、主にロンドンのデザインスタジオにコンタクトを取り続けていたのですが、5月に入ってようやく、ロンドンにあるスタジオでインターンが決まりました。
 
このスタジオはSidekick Studiosという名前で、パブリックサービスのデザインを主に取り扱っています。最近ではNHS(National Health Service)と協同で、躁鬱病等の、長期的な心の病を持つ人たちのためのラジオのデザインに取り組んでいます。

プロトタイプ

これは一体何かというと、非常に省略して言えば、患者さん(僕らはサービスユーザーと呼んでいます)と外の世界をつなぐ装置です。
 
このラジオにはムードダイアルというものがついており、自分の精神状態を5段階で評価し、インターネット上の各サイト(facebook, twiter等のSNSからNHSの電子カルテのサイトまで)に送るという機能がついています。そうすることによって、精神科医のみならず、友人、家族もリアルタイムで、ユーザーの精神状況を把握することができます。

プロトタイプの内部

ぼくは主にこの製品のプロトタイプを造り、ぼんやりしたイメージからより具体的な製品として固めていく、という様なことをやっています。もちろん他にもただ郵便局にいったり、エキシビションの取材をしたりといった雑用も多く、毎日忙しいですが、充実していると思います。
 
では、今回はこの辺りで。

2010年9月

 

ロンドンでのインターンが終了

Dysonのハンドドライヤーのプロジェクトから

6月頭から続けていたインターンがとりあえず、7月末で一段落しました。僕は主に、前回のレポートで紹介した精神疾患を抱える人のためのラジオ(Buddy)のデザインを担当していましたが、このラジオのプロトタイプ制作の他にも、Buddyのコンセプトムービーを作らせてもらいました。

クライアントとのミーティング風景

また、7月に入ってからはAdidasが主催する、RFID(SuicaやPasmoなどに利用されている技術)を取り込んだ、インタラクティブなエクササイズのアイデア出しもBuddyと並行して受け持ちました。
 
また、僕以外にもう一人、新しくインターンの方が入ってきたのですが、彼女はGlasgowの大学で、Physical Interactionという分野の教師をしていた人物だったので、彼女と仕事をするのはいろいろと学ぶことが多く、大変勉強にになりました。

プロトタイプの正確なサイズを知るための模型

残念ながら飛行機の都合で、Buddyの完成を見ること無くスタジオを去ることになってしまったのですが、完成したら写真を送って貰える様なので、とても楽しみにしています。

日本でのインターンが開始

nendoの同僚のイタリア人

日本に帰ってきた翌日から早速、nendoというデザインスタジオでインターンを始めました。ここのスタジオは、ガムのパッケージデザインから、イタリアの名門ブランドのための家具デザインまで幅広い活動をしています。中心的なデザイナーの方が建築出身なので、インターン生も建築やインテリアをやっている方が多く、自分とは違う分野の方々の話を聞くのはとても刺激的です。
 
また、nendoは国際的にも有名なスタジオなので、日本人だけでなく、フランス、韓国、中国、イタリアといった国からインターンに来ている方もいます。日本語、英語、フランス語、イタリア語が飛び交うスタジオにいると、思わずここが日本であることを忘れそうになります(笑)。
 
現在はロンドンで開催するエキシビションの、空間演出で使用する仕切り?のようなものを手作業で大量に作っています。作業をしつつ、スタッフの方々の仕事ぶりを見ていると、なんとなくですが、日本のデザインスタジオの雰囲気をつかめたような気がします。
 
この夏休みはとにかく忙しく動き回り、あまり休暇といった感じはないのですが、ロンドンと東京というという二大都市でそれぞれインターンができたという貴重な経験は大きいので、満足しています。
 
では今回はこの辺で。

2010年11月

 

nendo、エキシビションの設営

Phillips Galleryのエキシビジョン設営の様子。ひたすら白いドットを床に貼る

ご無沙汰してます、市川です。日本でのインターンも無事終えることができ、現在はロンドンに戻ってきて最終学年のコースを迎えています。ではこの2ヶ月での出来事を少し紹介します。
 
ロンドンに9月の下旬に戻ってきたのですが、翌日すぐnendoがロンドンで開催しているエキシビションの設営を手伝いに行ってきました。会場はSaatchi GalleryとPhillips Galleryの2カ所あるのですが、僕はPhillips Galleryの方を手伝わせて頂きました。

全体像はこんな感じ(設営風景)

現地のギャラリースタッフの方々と、nendoのスタッフの方々と共に、冗談を言い合いながら、ひたすら白いドットのシールを床に貼るという、なかなかレアな体験をさせて頂きました。
 
後日Saatchiのエキシビションも拝見したのですが、僕らがnendoのスタジオで手作業で作った紙製のコンパートメントが実際に配置してあり、感無量でした。勿論nendoの新作も楽しみました。

100% Design

友人がインターンをする、Re-designのブース

毎年9月、ロンドンではLondon Design Festival という、ロンドン市内の各所で大手企業から個人、もしくは学生のデザイナーまでが作品を展示するという催しがあるのですが、その中でも最大のイベントである100% Designを見に行ってきました。
 
大学の友人がインターンをしていたRe-design というスタジオもプロジェクトを展示していたので参加してみました。指人形を作って、ミニチュアのキャットウォークを歩かせるというものだったのですが、小さい子がとても楽しそうに作っているのが印象的でした。

最終学年の始まり

参加者が作った指人形です。人形が乗っている台がミニチュアのキャットウォークです。鍵もついてます

イギリスに来てからはや2年。あっと言う間でしたがついに僕らも最終学年(3年生)を迎えました。
 
基本的に最終の1年は、6月にあるDegree Showという3年生のエキシビションに向けての作品制作がメインなのですが、各自がテーマを定め、プロジェクトを進めていくのを助けるため、週の最初に課題を与えられ、木曜日にはプレゼンテーションをするというタフなカリキュラムになっています。まだまとまった写真が撮れていないので、それは次回お見せしたいと思います。
 
では、今回はこの辺で。