イタリア留学現地レポート

REPORTER

群馬県私立新島学園出身 
アジア・ヨーロッパ言語科英語+イタリア語専攻2007年卒

ペルージャ外国人大学(1年制)

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2008年2月

 

雨続きの冬

フィレンツェの大通りの写真です。飾りつけは日本のほうが派手なくらいですが、シンプルで上品な感じがします。

こんにちは。前回のレポートを送った数日後にとうとうペルージャでも初雪が降り、最近は雨ばかりの憂鬱な天気が続いています。イタリアの冬は日本よりも雨が多いとは聞いていましたが、まさかこれほどとは…大学の先生も、今のように降り続けるのは異常だとおっしゃっていました。
 
雨は嫌いではないのですが、こうも続くと気分も滅入ってしまうし、イタリアらしい雲ひとつない澄みきった青空が懐かしいです。というか、洗濯物が乾かないのが一番困りものだったり(_ _。)

フィレンツェへの旅

大きなツリーですが、これもとってもsemplice。オーナメントはおろか青や緑、赤などの電球も一切ありませんでした。ここまでくるとちょっと寂しいかも(;△;)?

さて、前回宣言したクリスマスとお正月の旅行ですが、残念なことに半分だけしか実行できませんでした。クリスマスは無事にペルージャを脱出してフィレンツェで修復の勉強をしている友達の家に遊びに行けたのですが、お正月に出かける計画の方が滞在許可証を更新する上でちょっとした問題が発生し、不可能になってしまったのです。なので、今回はクリスマスのフィレンツェの様子をご紹介しますね♪あと、お正月に自分のパソコンとにらめっこしながら感じた、イタリアの新年の様子なんかもちょっぴり…
 
24日の朝、フィレンツェに向かう為電車に乗り込んだのですが、車内の人の少なさにまず驚きました。てっきりクリスマスだからと旅行に出かける人で溢れていると思ったのに、ほとんど人がいないのです。そして、少ない乗客のうちのほとんどが外国人で、イタリア人なのは車掌さんぐらいなんじゃないかと思うほどでした。
 
フィレンツェに着いてからは友人と合流し、あちこちに施されたクリスマスの飾り付けを眺めたりお店に入ったりして楽しんだのですが、イタリアでは物凄く盛大にクリスマスらしさをアピールして街全体で派手に祝うのだろうと勝手に思い込んでいたので、それらの飾りが意外と落ち着いた感じでまとめられていたのにもまた驚きました。

私の所為かカメラの所為か、あまりよく写ってはいませんが、Ponte Vecchioの写真です。実物はもっとキラキラ輝いていてとっても綺麗ですよ。

上品に飾られたフィレンツェはいつも以上に美しく魅力的でしたが、中でも特に素敵だと思ったのはPonte Vecchioを渡らずに、手前から橋全体を見渡した時の景色と、橋の側面に照らし出された「Auguri di Buon Natale Felice 2008」の文字です。橋の写真は撮ったのですが、この文字をどうしてもうまく撮ることができなかった為、みなさんにお見せできないのが残念です。フィレンツェに留学を考えている皆さん、クリスマスの時はアルノ川にちょっと身を乗り出して、Ponte Vecchioの側面を覗いてみて下さいね!

クリスマス当日のイタリア

Panettone、ミラノのクリスマス用のドーム形フルーツケーキと辞書にはありますが、ケーキというよりは菓子パンな感じ。これもクリスマスが近くなるとスーパーに所狭しと積み上げられます。そしてクリスマスを過ぎると1,5ユーロくらいで叩き売りされるのでその時期に買うのもオススメです☆地元の奥様方が3個4個とまとめ買いしているのを見ると、母親というのはどこも一緒なんだなぁと微笑ましくなりますね。

24日の夕方~夜にかけてフィレンツェを堪能した私たちですが、25日がやっぱりクリスマス当日なわけだし、私は今日も街に出かけたいと言ったのですが、友達は「でも、今日は休日だからお店はみんな休みだよ?」とあまり乗り気でない様子。私は日本の常識のまま「いくら休みだっていってもクリスマス当日のこれ以上ないっていうくらいの稼ぎ時に、まさかみんながみんな休みなわけないでしょ~」と思い、なんとか説得して意気揚々と街に出掛けて行きました。
 
しかし、まだまだ甘かったようです…これでもかというくらい見事に街全体がお休み!centroの中でも一等地に当たるであろうPiazza della Signoriaも静まり返り、そこの一角にある私のお気に入りのカフェRivoireにもシャッターが!!その他のレストランもほとんどがお休みで、開いているのは中国系のお店かケバブ屋さんだけでした。。。
 
Rivoireでホットチョコレートを飲めなかったのは残念でなりませんでしたが、イタリアの人達は、昼や夜、そして平日も休日も関係なく働いてお金を沢山稼ぐことよりも、家族全員でクリスマスを祝ったり、長い時間共に過ごすことのほうが大事なんだろうなぁ~ということを考えると、それもまた素敵なことだと思えました。今の日本人には、そのゆったりと構える心がちょっと欠けているかもしれませんね。

滞在許可証のトラブル

Presepe、もしくはPresepioといってキリスト降誕の場面を人形で再現したものです。クリスマス前になるとあちこちの教会にこれが飾られます。小さいものからとても大きなものまで様々、なかには生きた人間が実演しているものもあるそうです。

ただ、その「ゆったり」に、最近私は酷く悩まされました。イタリアに留学を希望する人は誰しも必ず通ることになる最初の難関、滞在許可証についてのトラブルです。私の滞在許可証が出来上がって受け取り可能になるのは10月2日でしたが、去年の夏の終わり頃にシステムが変わったらしく、その日を過ぎても私は一向に自分の滞在許可証を受け取ることが出来ませんでした。
 
不安を一人で抱えたまま、必要な情報を見つけるために年末・年始のほとんどの時間をパソコンの前で過ごしました。年が明けて大学が始まり、事務の人や友達にいろいろと助けてもらいつつなんとか更新の申請をし終わり、今は半券が手元にある状態です。全て向こうの仕事が遅いからなのにこっちが大変な思いをして更新手続きをするハメになり、生きた心地がしませんでした。
 
でも、新年に花火が上がっていて、もっと見えないかなーと窓から身を乗り出していると、通りを歩く人が「 Auguri!」と陽気に挨拶をしてくれ、私も嬉しくなって「Buon anno!」と返してみました。不安でいっぱいだった心が、ちょっと休まるひと時でした。大変なことがあっても、こういう小さな挨拶の一つだけで、「私、やっぱりイタリア好きだな♪」って思えてしまえるので、本当にこの国は不思議だと思います。

新年の抱負

Palazzo Vecchioの紫にライトアップされた姿(24日夜)と普通の姿(25日昼)の対比です。みなさんはどちらが好きですか?

みなさんは今年の抱負などはもう決めましたか?私はまだイタリアに残り語学の勉強を続ける予定ですので、もちろんイタリア語の勉強を頑張ることが第一の抱負です。それに加えて最近疎かになっていた、イタリアを旅していろいろなものを見、いろいろな人に出会うことをまたしていきたいと思っています。その第一が、ヴェネツィアのカーニバル。1月25日~2月5日まで開催されるこのカーニバルを友達と見に行く予定です。
 
というわけで、今回は滞在許可証のことなど若干硬い内容になってしまいましたが、次回は魅力たっぷりのイタリアを代表する街のひとつ、水の都・ヴェネツィアのカーニバル体験記を書く予定ですので、どうぞお楽しみに♪

2008年5月

 

ペルージャの春

仮面を売っているお店のショーウィンドーです。人型だけでなく、動物の仮面まであるのに驚きました。

長かった冬も終わり、ペルージャでは最近春の訪れを体全体で感じられるような季節になってきました。まだいきなり雨が降ったりと天気の変わりやすさに戸惑うこともありますが、太陽が顔を出せば広場の階段に座り込んでジェラートを食べつつ友達と他愛のないおしゃべりをしたり、読みかけの小説を片手にお散歩に行きたくなってしまう、そんな日が多くなってきました。
 
ちょっと足を止めて辺りを見渡せば、山々の濃い緑、道端や庭に咲き乱れる花達の色鮮やかさとペルージャの美しい街並みにため息がこぼれます。改めて、なんて美しい国なんだろうと思いました。

ヴェネツィアのカーニバル!

仮装をした人達の写真です。実は彼ら、イタリア人ではなくドイツ人が圧倒的に多いんだとか。

水の都・ヴェネツィア。振動によって街全体が海に沈むスピードが速まらぬよう、車など車輪のついた乗り物は乳母車以外一切禁止されているおかげもあって、イタリアの中でも特に中世の面影を色濃く残しています。もちろん、普通に観光するだけでも十分魅力的な街ではありますが、今回は通常のヴェネツィアではなくカーニバルの時の、また違ったヴェネツィアの雰囲気をお伝えしたいと思います。
 
ヴェネツィアのカーニバルは世界三大カーニバルの1つということもありとても規模が大きく、今年は1月25日~2月5日まで開催。私は1月29日から3日間参加してきました。サン・マルコ広場を中心に、何ヶ月もかけて作られただけある豪華絢爛な衣装とマスケラに身を包んだ人々が溢れ、ヴェネツィアの街並みと相俟ってまるで中世にタイムスリップしたような感覚に襲われます。

何故ドイツ人なのかはわかりませんけど、地元の人の参加数が少ないのはちょっと寂しい気がします。とっても素敵なお祭りなのに…

美しく幻想的でそして少し妖しげな雰囲気の中、レンタルの衣装や仮面を利用して自分も仮装してみるもよし、写真を沢山とって歩き回るのもよし、いろいろな楽しみ方がありますが、私が特にオススメしたいのはカフェ・フローリアンです。
 
1720年創業のこのカフェは、ゲーテやモネ、ワーグナーなどが愛したヴェネツィア最古のカフェ。カフェ・ラテの発祥地としても有名ですね。ただでさえ物価が半端なく高いヴェネツィアの、しかも歴史あるカフェということで値段はかなり高めですが行って損することは絶対にありません。創業当時を思わせる店内はまるで美術館のようだし、もちろんサービスも最高。何よりこのカフェ内にも仮装した人達がお茶をしにくるのでそれを眺めるのがとても楽しいのです。
 
普通のバールで彼らがお茶をしていたらそれはそれは不釣合いかもしれませんが、昔のままのこの店内で貴族などの仮装をした人たちがお茶を飲む姿はとっても絵になって素敵そのものですよ。時間によっては観光客で溢れかえってしまい落ち着いて寛げないかもしれないので行く時はぜひ店内の様子を見て、そしてゆっくりとカフェを味わえるよう時間にゆとりをもって行ってくださいね♪

かけがえのない友人達

お別れパーティーの時にみんなで撮った写真です。本当に人種も年齢もさまざま!

私たちが受講しているクラスはだいたい3ヶ月1クールで、学期末にテストがあり、それをパスすると上のクラスに行ける仕組みになっています。しかし、家や健康、仕事などの事情により1クール全て受講できずに帰国しなければならない人もクラスの中には数人います。カーニバルの話題同様少し前の話になりますが、2月の末にもクラスメイトの1人が帰国しなければならなくなりました。
 
そんなわけで帰国の前日にお別れパーティーをすることになったのです。決して長い期間ではなくても一緒に笑って一緒に悩んで、勉強したりおしゃべりしたり…ごく普通のことのようですが、みんなが自国を離れて生活しているからこそ共に過ごせる濃い時間がそこにはあると思います。だからでしょうか、この日もクラスのほとんど全員が参加するというかなり賑やかなパーティーになりました。
 
私はこういう瞬間がとっても好きです。ただ楽しいだけじゃなく、みんなの愛情とか優しさとか、そういうのがすっごく伝わってくる瞬間。それぞれ手紙とかメッセージカード、プレゼントなんかも用意したりして。たとえお互いに帰国してしまいなかなか会えなくなったとしても、ここで得た友人達とはいつまでもその関係を続けられるような気がします。

2008年9月

 

イタリアの夏

青の洞窟内部です。フラッシュをたかずに撮るとこのような幻想的な青がよく映ります。

Soleoneという言葉を聞いたことがありますか?sole(太陽)+leone(ライオン)という単語の造りからわかるように、焼けるように熱い日差し、すなわち7月の太陽のことを指します。そう、イタリアでは日本と違い8月より7月のほうが気温の高い日が多く、8月に入ってからは少しずつ暑さが和らいでいくと言われているのです。(和らぐといってもイタリアの太陽は日本よりもずっと日差しが強いので、日向にいると倒れそうになりますが…)
 
そんなイタリアの夏。去年は着いたばかりで余裕がなかった為ほとんどどこにも行けませんでしたが、今年は南と北の両方を旅し、思いっきりバカンスを満喫してきました♪というわけで、今回はペルージャではなく旅先で見たイタリアを紹介したいと思います。

ナポリ・カプリ・ソレントへ

ソレントの高台より。夏季は船が多く、ここからもカプリやイスキアに行けるそうです

まずは7月の初めに行ったナポリ・カプリ・ソレントから。ナポリへは7月、大学が休みになった友人のマリを訪ねました。地元を案内してもらったり、青の洞窟で有名なカプリ島や、特に観光地として有名ではないけれど風光明媚な街並みがとっても魅力的なソレントを一緒に周ってきました。
 
“Vedi Napoli e poi muori”(ナポリを見て死ね)と言われる通り見所満載のナポリ。しかも今回はナポリ生まれのナポリっ子に案内してもらったのだから有名な場所はもちろん、みんなが知らないような穴場まで一気に紹介!!…といきたいところなのですが、実は私たちがナポリに到着したのはちょうど年2回の大きなセールが始まる時期で、しかも女の子3人の旅。この誘惑に勝てるわけもなく、マリにはナポリの素敵なショッピングストリートを沢山案内していただきました。
 
というわけで、ナポリの紹介はまた次の機会にでも(´∀`;)その代わり、今回の旅のメインイベントでもあったカプリ島、青の洞窟について少し詳しくお話したいと思います。

今回の旅の拠点となったのが、夏の間に野外オペラを見られるアレーナや、ジュリエットの家で有名なヴェローナの街。これはランベルティの塔から見た街全体の様子です。

毎年ひっきりなしに訪れる観光客はもちろんのこと、古代にはローマ皇帝ティベリウスまでも魅了したナポリ湾の真珠、カプリ島。この島へはナポリから船に乗って40分~1時間程度で行くことができます。
 
洞窟へは、船がついた港からまた洞窟行きの船に乗り換えるか、バスで陸路から行く方法があります。どちらも洞窟に入る手前で手漕ぎボートに乗り換えなければいけないのですが、入り口がかなり狭く危険なので、波の高い日や満潮の時は中に入ることが出来ません。洞窟へは太陽光の関係で午前中に入ったほうが綺麗だそうですが、私の大家さん曰く日が沈む直前もまた格別の美しさなのだとか。旅行の日程上私はどちらでもない時間帯に入ったのですが、それでも青の洞窟の幻想的な美しさを満喫でき、大変満足することが出来ました。
 
青の洞窟を楽しんだら、次は島の中心へ。この島は東側のカプリ地区、西側のアナカプリ地区と大きく2つに分かれており、東にはもう廃墟と化してしまったものの、皇帝の別荘Villa Jovisと、彼の心をとらえてやまなかった夢のように美しい景色が広がっています。一方西側のアナカプリ地区は明るくリゾート気分を十分に味わえる場所。洗練されたショッピングストリートが続き、さんさんと降り注ぐ太陽の下ジェラートを片手にお買い物を楽しんでいる人達が大勢見られます。また、ソラーロ山に登れば島の頂上からカプリ全体を見渡すことも可能です。

心に残る南イタリア

着いた当日にさっそくオペラ「カルメン」を見てきました!上のほうの安い席でしたが舞台に近かったのでよく見ることが出来たし大満足(≧∀≦*)これは終演の挨拶をしている時の写真です。

さて、せっかくナポリまで来たのだったら一緒に見ておきたいのがユネスコの世界遺産にも登録されているアマルフィ海岸一帯の街、サレルノやアマルフィ、ソレントなどです。どこの都市に行くかかなり迷ったものの、結局はマリの友達が住んでいるソレントで地元の子に案内を頼んじゃおう♪ということになりました。車窓からの景色も然る物ながら、連れて行ってもらった高台からの景色は素晴らしいものでした。また、海水浴を楽しむ観光客で溢れるビーチの、綺麗に澄んだ海の青と砂浜の白が、今本当に南イタリアで夏を過ごしているのだなぁ、と実感させてくれました。
 
でも今回の旅行で一番心に残ったのは、ナポリでの戦利品やソレントの美しい街並み、念願だった青の洞窟でもなく、旅先で出会った人々の温かさでした。特にマリの家族には本当に良くして頂きました。お母さんもお父さんも私達を本当の娘のように扱ってくれ、おいしいナポリの家庭料理も沢山ご馳走になりました。マリの友達もさすがは南イタリア!と思ってしまうほどみんな気さくで明るく情の深い人たちばかりだったし、彼らのおかげで期待以上に大きな収穫のある素敵な旅になりました。