後半あと1,2秒で試合終了というロスタイムに、ペナルティを知らせる主審の笛が鳴りました。
「Controversial Penalty Decision ・・」とは、レポーターが思わず発した言葉。Controversialとは直訳すると「議論の余地がある」ということ。つまり、物言いがついたり、後で議論になったりするようなペナルティーの判定、というわけです。反則と思われるシーンがVTRで流れても、どうも腑に落ちない・・。これが?!イタリアがゴール前からのペナルティキックを決めると同時に試合終了。
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オーストラリア×イタリア戦。イタリアと言えば誰もが知るサッカーの強豪チーム。これまで全く世界では知られなかったオーストラリアとしては16強に入り、イタリアと対戦するところまで来た、というだけで光栄と言わざるを得ないのでしょうか?
クロアチア戦が終わり次のトーナメント進出が決まった時、ニュースキャスターの女性がサッカーの解説員に遠慮がちに聞きました。「オーストラリアがイタリアに勝つ可能性は?」。いかにも解説員が答えに困ることを知っていて尋ねたようなちょっと鼻で笑ったような言い方。解説員も「Well・・・」とちょっと困って苦笑いをした後、「いやぁ、ブラジル戦でオーストラリアがあれだけ頑張ったんだから、頑張ってくれると思うよ」と無難なコメント。本当の力の差を知っている解説員だけに、コメントに気を使ったことが伺えました。
しかし、オーストラリアのファンたちは、心から「イタリアと同格に戦える」と信じていたと思います。
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オーストラリア時間午前1時キックオフ。私も9時からちょっと寝て、1時の試合に備えました!前回の試合で"King Hrarry"と呼ばれるようになった、ハリー・キューエルが怪我のため欠場。ヒーローがいなくても、オーストラリアは王者イタリア相手に果敢に挑みました。もう、1秒たりともテレビから目が離せない面白い試合で、眠気もあっという間に飛びます。意外なことに、オーストラリアの方がボールの保持率も高く、有利な展開を見せてくれました。
後半になると、その傾向はさらに強く。イタリアは「オーストラリアごとき」にてこずっていることで、プライドにかけてかなり焦っているように感じましたが、その中でオーストラリアのプレーは安定していました。「このチームは最後まで戦うチーム」というヒディンク監督の言葉を思い出し、後半は「このままいけるかもしれない」と思われました。
しかし、試合終了の間際。前述のペナルティキック。イタリアのトッティのシュートが決まるとサッカルーズのメンバーはうなだれました。こんな形で試合が終わるなんて。悪夢、それとも悲劇?納得のいかない終わり方に、スクリーンに映し出されるサポーターの顔も呆然。
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いつものように試合終了後、たくさんの人々が集まるメルボルンのフェデレーションスクエアが映し出されました。先日オーストラリアにはクロアチアからの移民が多くいることをお伝えしましたが、イタリアからの移民はその比ではありません。私はイタリアサポーターが喜んでいる様子が見られるものと思っていましたが、レポーターがまず伝えたのは「Everybody's disapointed. No one's happy.」ということでした。「だれも、歓声をあげる人がいません」というのは、ちょっと驚き。イタリアとオーストラリア両方のサポーターが集まる場所では、この試合の終わり方に、イタリアファンもオーストラリアファンに気を使って手放しに喜べなかったようです。(イタリア人ばかりが集まるイタリア人街では情況が違ったようですが)。
一夜明ければ「オーストラリアにしてはイタリア相手に良く頑張った」と世界から同情のような評価をされるのでしょうが、この皆の落ち込み具合、「勝つつもりだった」ことは明らかです。
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サッカルーズに対する思い入れが強くなっていただけに、今回の試合の結果は本当に残念。でも、たとえ誤審だったとしても、それも含めてスポーツの面白さなのかもしれませんね。このW杯がオーストラリアのスポーツ史に与えた影響は測り知れません。明らかに最後には、ラグビーファンやフットボールファンの心も動かしていました。また、子供たちに与えた影響も大きいです。サッカーボールやサッカーのゲームを欲しがる子供も増えたようですから、オーストラリアのサッカーの歴史は今幕を開けた・・と言っても過言ではありません。
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他民族国家のオーストラリア。今回、クロアチア系の選手がオーストラリアチームで活躍したこともお伝えしましたが、次回オーストラリアがW杯に出る時は、日系の選手がいてもおかしくありませんね。色々な国出身の選手がいて、世界中が自分の国とオーストラリア両方を応援したくなってしまうようなチームになっていたら、面白いと思います。サッカルーズ万歳!