セカンドステージで敗退したオーストラリア。盛り上がり最高潮であったイタリア戦の日から、1週間がたちました。多くのオーストラリア人はそろそろ寝不足が解消され、ワールドカップを理由に午前中は職場に現れないという不届き者も現れなくなった頃だと思います。イタリア人街では、まだまだ興奮のピークだと思いますが。
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その後のオーストラリア。皆すっかり熱が冷めて、すぐにサッカーの存在すら忘れられていくのだろうと思われましたが、意外なことにまだまだその余韻は続いています。帰国したサッカルーズのメンバーが、英雄として受け入れられたためです。
ワールドカップ出場までは、名前も顔も覚えられていなかった選手たちが、今や子供たちのヒーローです。朝のニュース番組にゲストで来るとなれば、多くの人テレビ局の前に集まりますし、選手の母校訪問などで盛り上がった学校もあります。それは、ちょうど日本でいうオリンピックで金メダルを取った選手が、帰国と同時にあちこちで引っ張りだこになるような、まさにそんな状態。
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オーストラリアでは、ここ数年、すでにサッカーの人気は上がってきていたようですが、サッカルーズがワールドカップ出場を決めた昨年の11月以降からサッカーをプレーする人が急増。今回のワールドカップでいっきに火がついたという感じです。ヨーロッパからの移民が多いオーストラリアでは、サッカーに火がつく潜在的可能性は十分にあったと思います。しかし、応援したいチームもなければ、憧れる選手もいない・・。それが、サッカルーズの活躍と新しいヒーロー達の誕生に、道が開かれた!という感じです。
90分の試合に、たった1、2本程度のゴール。「(ラグビーなどに比べて)試合の展開が遅くてつまらない」と最初は漏らしていた人も、1本のシュートの重みを知って、試合終了の笛が鳴るまでドキドキしたり。「こんな審判の判定のせいで泣きをみるなんて・・」とこぼした人々も、それで泣きをみることもあれば、逆に救われることもあるのを知って、それもサッカーの面白みと学んだり。色々な意味でオーストラリア全体がサッカーというスポーツの面白さを知った機会だったと思います。これが、今回のワールドカップがオーストラリアに残してくれたものではないでしょうか。
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今後の課題はどうやら、良い選手をたくさん輩出していくために、オーストラリア国内のリーグを活性化していくことのようです。今回サッカルーズの選手がオーストラリア国内のサッカーリーグ、Aリーグの投資に意欲を見せていることもニュースになっています。また2007年のアジアカップに向けて、どのように取り組んでいくかも見ものです。今回W杯に出場した多くの選手がヨーロッパのクラブチームに所属しているので、予選への出場が危ぶまれているところですが、オーストラリアでのサッカーの地位を確立していくために、アジアカップ、北京五輪と頑張ってもらいたいものです。
そして、いつか、オーストラリアでワールドカップが主催されるころには、サッカーはオーストラリアで確固たる地位を確立していることでしょう。やっと国際舞台に飛び出したサッカルーズ。今後も皆さん、見守ってください。