どんなに留学に憧れていても、どんなに海外旅行が好きでも、「日本食がないとやっていけない・・」という人はいるものです。もちろん、「郷に入っては郷に従え」という言葉もあるとおり、留学したらその国の文化に溶け込むよう努力することも大切ですし、そのための我慢というのも必要でしょう。しかし、小さい頃から続けてきた食の習慣とは、そう簡単に変えられるものではありません。
たとえ「日本食がないとやっていけない」ほど重症ではなくても、 長く海外に暮らし始めると、たまに「あ〜、すきやき食べたいな〜」とか「焼き魚が食べたいな〜」と、思うことがあります。日本で長く暮らしたオーストラリア人が「あ〜、ラーメン食べたい」と言うくらいですから、日本人として日本食が恋しくなることは、ある意味当然のこと。食への恋しさが、ホームシックを引き起こす場合もあるので、侮れません。
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そこで、今回はオーストラリアの日本食事情をお話しします。オーストラリアと言っても広いので、事情が異なる場所ももちろんありますが、ここシドニーを中心にお話ししたいと思います。
オーストラリアで有名な日本食はもちろんSUSHI!本当にみんなスシが大好きです。オフィス街でランチタイムとなれば、片手にスシを持って歩く人の姿があちらこちらで見られます。一番よく見かけるのがサーモンのにぎり寿司。それから、10センチぐらいの大きさにカットされた巻き寿司(写真)も定番です。具はアボカド、照り焼きチキン、ヤキニク、えびの天ぷらなど様々。いなり寿司も人気があります。これらのスシはやはりオーストラリア人向けに作られているということもあり、日本人が食べて「おいしい!」と言えるほどのものではありませんが、日本食への恋しさをまぎらわせるには、十分な存在です。
回転寿司もかなりの定番になってきました。こちらでは「Sushi Train」と呼ばれています。もちろんネタの種類は日本に比べて少ないですが、それでもこれは日本人が考えるいわゆる「スシ」なので、満足度も高いです。しかし日本のように1皿100円とはいかないので気軽に行くことはできません。(1皿3ドル〜5ドル・300円〜500円が相場)それでも人気のお店となれば、昼・夜は長蛇の列です。
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SUSHI以外にも、さまざまな日本食レストランがあります。丼物を中心にしたお店や、ラーメン屋、居酒屋、お弁当屋、焼肉屋、コロッケ屋などなど。最近では日本のファミレスのように、ハンバーグやスパゲッティ、オムライス、ドリアなんかが食べられるお店もあるそうです。オーストラリアの日本食屋もついにそこまで来たか!という感じ。しかし、日本食レストランのいくつかは日本人ではなく、韓国人、中国人が経営している場合があります。日本人が行った場合「これは日本食?なんだか違うぞ。」とがっかりする場合もあるので、「ホンモノ」の日本食を味わいたければ、日本人の評判を聞くのが一番です。
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さて、自炊で日本食を作る場合の、食材についてです。もちろんスーパーに並んでいる野菜も日本と異なりますが、基本的な人参、ジャガイモ、玉ねぎなどを使う分には近くのスーパーで簡単に料理できます。お米も安くておいしいものが手に入りますし、しょうゆも普通に売っています。最近の健康食、オーガニックブームで、そば、うどんや豆腐まで一般のスーパーで手に入るようになりました。もし、しいたけや白菜、大根などを使いたい場合は、アジア系または日系のスーパーマーケットに行ったり、チャイナタウンに出かけたりします。日本から輸入されたもの、例えばカレールーや、みりん、料理酒、味噌などはさすがに値段が高く、日本の1.5倍〜2倍が相場です。しかし、見つけられない食材はほとんどないので、まったく不自由しません。
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「留学したい!」と考えている方たちの相談を受ける中でよく聞かれるのが、やっぱり「食」に対する不安。本人だけでなく、ご両親が心配しているケースも多々あります。どんなに留学して勉強を頑張っていても、生活の基本となる「食」でつまづいてしまったら、本も子もありません。そう考えると、日本食が簡単に手に入るということは、保険のようなもの。毎日食べるわけではなくても、いつでも手に入るという安心は、初めて海外生活をする人にとっては、良いことだと思います。