オーストラリアのお茶の間の人気者、スティーブ・アーウィンの訃報が入ったのは今週初めのこと。クロコダイル・ハンターという別名で知られる彼。よくクロコダイルの餌付けなどをしている様子がテレビに映るので、日本で見たことがある人も多いのでは?グレートバリアリーフでテレビの撮影中、stingray(アカエイ)に刺されるという思わぬアクシデントにより、一瞬にしてその命が奪われました。弱冠44歳。
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このニュースの衝撃は、私の想像を遥かに超えるものでした。テレビのインタビューに答えるオーストラリア首相も、エイの特性について語る海洋学者も、テレビのアナウンサーまでも、皆、彼の死が信じられずに、赤い目で涙をこらえながら話しているのです。
街頭のインタビューでも皆が口々に「彼はオーストラリアのアイコン(まさにオーストラリア人という象徴)だった」と語り、オーストラリアが失った物の大きさがしみじみと伝わってきました。オーストラリアの人々が考える、愛すべきオーストラリア人の象徴、それがスティーブ・アーウィンだったのです。
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よく世界中のガイドブックや本、テレビなどで紹介されるオーストラリア人のイメージにこんなものがあります。
・時間に遅れる(時間を気にしない)
・ビール好き
・”G'day, mate”(オーストラリア流のあいさつ)と言う
・オーストラリア英語を話す
・なんでも"No worries"という(細かいことを気にしない)
・短パンにハイソックス(男性の服装)
・フレンドリー
「オージー」や「オーストラリア人」と呼ばれる人たちが全員こんな人たちのハズはありませんが、いわゆる「典型的なオーストラリア人」と皆が思っているのが、上記のような人なのです。
都会の洗練されたオージーたちにとったら、そんなイメージは払拭したいところでしょうけれど、まだまだ田舎に行くとまさに!という方がたくさんいます。CMでも面白おかしく、そんな人物が登場してきます。でも、それは決してマイナスイメージではなく、オーストラリア人にとっても「愛すべきオージー」のイメージなのだと思います。
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スティーブ・アーウィンは人々が期待する「まさにオーストラリア人」というイメージにピッタリする人でした。いつも短パン姿で、バリバリに訛りの強い英語を惜しげもなく披露してくれます。動物が大好きで、ワニや蛇など危険な動物にも果敢に挑んでいく、勇敢さと、大らかさがあり、そのオーストラリア丸出しの姿に苦笑しながらも、微笑ましく思ってしまう。飾らずに自然体でオーストラリアを体現する彼を、どこかで人々は誇りに思う部分があったと思います。
そんな彼のことを誇りに思い、オーストラリアのアイコンとして受け入れ、また今回の訃報を友人の死のように悲しむオージーたちも、また愛すべきオージーだと思います。