「Dramatic draw」。オーストラリアで主要なテレビ局「チャンネル7」のウェブサイトのトップには、こんな言葉が。「劇的な引き分け」
そう、今朝(6/23)放送されたオーストラリア×クロアチア戦のこと。この試合でクロアチアと引き分けたオーストラリアは、日本がブラジルに敗退したことでセカンドステージに進むことが決まりました。テレビで見る限り街は大騒ぎ!これまで盛り上がりがイマイチ・・とお伝えしてきたオーストラリアも一番の盛り上がりだったと思います。野外スクリーンやパブで応援した人々が、試合の後街を練り歩き、朝のニュースの時間にはテレビ局の外にも集まっていました。ヒディンク監督は「今日はまた多くの人が職場に行かないかもしれないね。オーストラリア経済にとってはダメージになると思うけど・・」とジョークを飛ばしましたが、ジョークにならないかも?確かにこんなメデタイ日に仕事なんてやってられないというオージーが沢山いそうです。
**************************************
私はといえば、朝5時起きでテレビ観戦しました!(日本は4時からだったので、大変だったのでは?)・・といってもW杯を放送しているチャンネルは1つなので、同時刻に始まったオーストラリア×クロアチア戦と日本×ブラジル戦、もちろん優先されるのはオーストラリア戦の方。リアルタイムで日本×ブラジル戦を見たかったのですが、とりあえずはオーストラリア×クロアチア戦を見守ることにしました。
日本のためにはオーストラリアに勝ってほしくない。でもオーストラリアが点を入れると嬉しい・・というちょっと複雑な心境。途中で日本×ブラジル戦の速報が入ってきますが、「Japan・・」という言葉を聴いた瞬間、耳をふさいで結果を聞かないようにちょっと無駄な努力をしてみました。結果を知ってしまったら朝7時から放送される日本×ブラジル戦を本気で見れなくなってしまうので。。。
しかし、その努力もむなしく、オーストラリアが引き分けに終わると同時に、次のトーナメントの進出が伝えられ、日本の結果も分かってしまいました。日本人としては、本当にがっくり。
でも、今回本気でオーストラリア×クロアチア戦を見て、私はサッカルーズのことが好きになりました。フェアプレーのチームであるし、最後まで決してあきらめない。ヒディンク監督が"This team fights until the end(このチームは最後まで戦うチームだ) "と言ったのにも納得です。ペナルティーキックの、ちゃんと決めなければいけないシーンでは決めてくれる。そして79分のハリー・キューエルの文句なしのゴール。最初はあまり期待していませんでしたが、とても良いチームだと思ったので、日本がオーストラリアに負けたのも仕方がなかったかな・・と思うことができました。オーストラリアがクロアチアに惨敗だったらそうは思えなかったかもしれませんね。
**************************************
オーストラリア×クロアチア戦の前。話題になったのは、注目の選手ハリー・キューエルがクロアチア戦に出場できるか否か。ブラジル戦において、主審を侮辱した行為が仇となって、危うく出場停止となるところでした。また先日お伝えした某テレビ局のサイトで「ハリーはやりすぎたか?Yes or No」という投票をやっていたので、次の大事な試合を控えての彼の行為に「やりすぎ」というYesに投票したのですが、「妥当だった」というNoの方が優勢だったのにはちょっと驚きました。
というのも、彼が出場できることが決まった後での投票だったからかもしれませんが、「危うく出場停止だったよ!」というネガティブな考え方よりも、「出れることになったんだからいいじゃん」という前向きなオーストラリア人たちの姿を垣間見たような気がしました。
ハリーがこの試合に出たのと、出なかったのでは、大きな差があったと思います。今回の試合で彼は本当によく活躍しました。ハリー・キューエルは今日の試合を経て"King Harry”と呼ばれ、オーストラリア中誰もが認めるスーパースターとなりました。
**************************************
さて、前回のレポートでオーストラリアにはクロアチアからの移民が多くいることをお伝えしましたが、今回試合終了後にフォーカスされたのは彼ら。両親はクロアチア人でも、自分たちはオーストラリア生まれのオーストラリア育ち・・という人がたくさんいます。また、今回レギュラーのゴールキーパーに代わって出場したカラッツ、FWで活躍したヴィドゥカもクロアチアのバックグラウンドがある選手たち。皆思いは複雑だったようです。でも街のクロアチア系の人々の声としては、「クロアチアが次のトーナメントに行けないのは悲しいけれど、オーストラリアが行けるのは心から嬉しい!オーストラリア人であることを誇りに思う」というものがほとんど。それぞれのドラマがあるんですね。
***********************************
オーストラリアは次のイタリア戦に焦点を当てています。日本×ブラジル戦についてはそれほど多く語られていません。試合後のコメンテーターの話も日本の選手についての批評よりは、ただただブラジルの芸術的なゴールを褒め称えるばかりでした。日本が次のトーナメントに行けないのは、本当に残念・・。でも、良くやったなと思います。お疲れ様、ニッポン。
ちょっと気持ちを切り替えて、これからはオーストラリア一本で応援することにします。