Presidential Election Rocks! 〜アメリカ大統領選挙が熱い!〜
2008年は4年に一度のオリンピックイヤーですが、アメリカでは今年もう一つ4年に一度のビッグイベントが進行中です。それは11月4日に投票日を迎える大統領選挙。大統領候補は2大政党である共和党と民主党からそれぞれ大統領候補と副大統領候補が選ばれ、参政権は選挙人登録を行った18歳以上の米国民に与えられます。18歳といえば高校生3年生にあたるわけですから、高校や大学でも政治ネタで大変盛り上がります。高校生が選挙について熱く語るなんて日本ではあまり見かけない光景かもしれませんが、自分の考えや主張を表現するのが当然のアメリカでは「次の大統領には誰が相応しいか」は格好のトピックであり、無関心はありえないのです。まして今回の選挙は、史上初のアフリカ系アメリカ人大統領か史上初の女性副大統領の誕生がかかっています。選挙権があってもなくても、注目しないわけにはいきません!
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現在の大統領であるジョージ・W・ブッシュ氏は2000年より2期8年を務めていますが、景気の悪化や6年にわたるイラク戦争への批判などから、あまり支持されていません。今回同じ共和党からは大統領候補として72歳でベトナム戦争の英雄とも言われるジョン・マケイン氏が指名獲得しています。一方、民主党は候補者レースでバラク・オバマ氏とヒラリー・クリントン氏のデッドヒートが繰り広げられましたが、結局カリスマ的魅力で演説に定評のあるオバマ氏47歳が指名獲得に至りました。
オバマ氏は若くアフリカ系と白人の混血でもあるため、指名獲得争いの段階から「当選すれば建国以来初のアフリカ系アメリカ人大統領の誕生」として注目されてきました。スピーチにも説得力がありフレッシュなイメージで「変化」を期待する若年層を中心に人気を得ています。対するマケイン氏は政治家としての経験が長く、ベトナム戦争で捕虜となり拷問に耐え生還した経歴もあることから英雄として根強く支持されています。このキャラクターの相反する二人がそれぞれ副大統領候補を誰に決めるのかに関心が高まっていましたが、まず8/25からの民主党党大会を前にオバマ氏が副大統領候補としてベテラン議員であるバイデン氏を選びました。このticket(大統領候補と副大統領候補の組み合わせ)はオバマ氏の経験の浅さを補う意味でも無難で賢明な選択であるという見方が一般的です。
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ところが!翌週の共和党副大統領候補の発表には誰もが驚かされました。周囲の予測を見事に裏切り44歳の女性、ペイリンアラスカ州知事が選ばれたのです。州知事とはいえ、それまでマークされていなかった彼女が副大統領候補となったことで、オバマ氏がやや有利かと思われていた選挙の行方がまったくわからなくなりました。オバマ氏は“Change”“Yes, we can!”を合言葉に新しい時代の大統領候補として「オバマ旋風」を巻き起こしてきました。それが同世代でしかも女性のペイリン氏の登場によって、「新しい」「変化」というイメージが一気に共和党へ流れたのです。共和党のマケイン候補が当選すれば史上初の女性副大統領の誕生となります。ペイリン氏は一躍時の人となり全米の注目を一身に集めて党大会で演説することになりました。
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党大会はそれぞれの党で4日間行われます。毎日その候補者を支持する政治家や著名人などがスピーチを行い、最終日に候補者本人が正式に指名を受け演説を行います。それがどの党の誰のスピーチも堂々としていてユーモアがあり魅力的で、応援していてもしていなくてもつい見入ってしまうのです。会場を埋め尽くす何万人という参加者たちも、歓声をあげたり立ち上がったりして盛り上げますし、スピーチの合間にはミュージシャンのパフォーマンスなども入り、みんな歌ったり踊ったりでそれはもうコンサート会場かスポーツ観戦のような空気です。
大統領選挙はいくつかのプロセスに分かれていますが、4年に一度の新議会発足の約2年前から次期候補者候補が選びが始まり、党大会で正式に各党の候補者が指名され、11月初めに投票が行われます。日本の内閣総理大臣の選び方とはかなり異なることがお分かりでしょうか?先日福田首相が辞意を表明されましたが、こちらのメディアでは「日本は平成に入ってからの20年間足らずで12人もの首相が存在する」と話題になっていました。同じ期間アメリカの大統領は4人しかいませんから、こちらの人たちには奇妙に映るのでしょう。いずれにせよ米大統領選挙投票日まであとひと月あまり。皆さんも歴史的な瞬間を見逃さないよう、注目していてくださいね!
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