No.2 2005.10.21
近況報告
最近のフィレンツェは、長かった夏も終わり、九月の半ばくらいから大分涼しくなりました。ようやく秋の到来です。秋にしては珍しいらしく、九月に雨がたくさん降りました。こちらの雨は、激しく短いのが特徴らしいのですが、日本の梅雨のように、じめじめと一週間程降り続いた事もありました。雨が降ると、必ずと言って良いほど雷が鳴ります。雷が苦手な人にとっては、嫌な一ヶ月だったかもしれません。
キャンパス内では、相変わらずアメリカ人が多いです。人にもよるとは思いますが、彼らは授業以外は基本的に英語しか話しません。挨拶も、何かを質問してくる時も、基本的に英語です。少し英語が話せると、意思疎通が出来て便利かもしれません。
パソコンは、5台ある内3台しか日本語に対応していないので、いつも混んでいて大変です。遂に、『パソコンの使用は、一回につき一人20分まで』という張り紙まで張られるようになりました。無料で使わせてくれているので、当たり前かもしれませんが。。。
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学校の授業
私の学校は、普通のコースがレベル6まであります。勉強の内容は、レベルや先生によって違いますが、レベル1〜3までが基本的な事を勉強し、レベル4で1〜3までの復習と応用、レベル5と6で、難易度の上がった応用問題を勉強します。先生によって授業の難易度が違うので、難しいと有名な先生や、教え方が解りづらい先生に当たると、一ヶ月辛いと思います。
私の友達は、難しいと有名な先生に当たり、ナチスドイツの文献を読んだり、日本やアメリカなどの自分の国の政治のしくみや、選挙について話したりしたそうです。前々から知識が無いと、大変な授業だと思います。他には、新聞の記事を一つ選んで皆に説明したり、ひたすら童話や物語の要約をやったりと、色々な授業のやり方があります。
宿題の量はあまり多くありません。先生によってかなり違うと思いますが、大体10問位の問題を一つだけです。
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フィレンツェならでは経験
私の学校は、月に一度、学校の授業で映画を見たり、校外学習に行きます。私が今まで受けた中で一番おもしろかった授業は、革製品を作るアトリエ工場の見学をした授業です。フィレンツェは革製品で有名なので、そのアトリエ工場は革製品の学校でもありました。教会の中にある、とても雰囲気の良い学校でした。そこで、ハンドバックを作る過程や、うっすら元の姿を連想させる色々な色に染められたワニ皮を見ました。フィレンツェ発祥且つ独自の、金箔を革に押し当てて模様を付ける手法も、直に見ることが出来ました。貴重な経験が出来て、とても嬉しかったです。
他には、中央市場に行ったり、遠くの市場へバスで行ったりする授業もあります。どの授業も、学校の先生が一緒なので安心で解りやすいです。今までに一度だけ、月の最後の授業に、ジェラート屋さんに行ってお喋りをして終わった授業がありました。その日を最後に、それぞれの国に帰ってしまう友達が多かったので、先生が連れて行ってくれたのだと思います。
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学校の先生
先生は色々な人が居ますが、大抵はとても優しくて陽気な先生達です。授業中も、皆先生と話す時は、敬語ではない二人称を使っています。逆に、敬語を使うと直されます。親しさの表れなのかもしれません。
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夏休みにパリまで
学校の夏休みが二週間あったので、友達と一緒にパリに旅行に行ってきました。日本に居た頃は遠くに感じていたフランスも、イタリアに居ると同じヨーロッパ圏内なので、とても身近に感じました。通貨も同じユーロなので、とても便利です。
私はフィレンツェから寝台で行ったので、半日ほど掛かりましたが、飛行機で行くともっと安くて快適かもしれません。四泊五日で、廻れるだけパリを見て廻りましたが、今でもパリに帰りたいと思う位本当に素敵な街でした。
イタリアも芸術の町ですが、パリはまた違う気品と繊細な雰囲気の建物が多く、リピーターが多いのも頷けました。物価はイタリアより高く、フランス語が読めないとレストランで食事をするのが難しいと思いますが、それでも、何度行っても、何日居ても飽きない街だと思います。
パリに旅行に行った学校の友達も、『私、留学する場所を間違えたかなぁ。。。』と洩らしたりもしていました。本当に良い街だったので、留学中には是非旅行に行ってみてもらいたいなぁと思います。
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学校の遠足
私の学校は、月に二度、日曜日に日帰りの遠足があります。今まで遠足の行き先になった町は、ピサ、サン・ジミニャーノ、ルッカ、ヴェネツィア、ペルージャ、アッシジ、シエナ、ラヴェンナ、ボローニャなどです。その他にも、教会や美術館を廻るフィレンツェ市内観光もあります。ウッフィッツィ美術館に学校の行事で行ったときは、学校側が予め予約を入れておいてくれたので、並ばずにスムーズに入ることが出来ました。スポーツの行事は、サッカーやバレーボールがあります。音楽を勉強したくてこの学校を選んだ方にとっては、Pucciniのオペラやイタリアンミュージックについての課外活動は、無料ですしとても興味深いものだと思います。
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これまでを振り返って
私は、10月で留学8ヶ月めに入ります。学校の中でも、古株の方に入ると思います。外国の人は一ヶ月などの短期留学が多く、日本人の人も(中には一年の人も居ますが)三ヶ月や半年の人が多いので、仲良くなった人とのお別れはなかなか辛いものです。長く居れば居るほど、そういう場面が増えます。
私から見た、留学してからの気持ちの変化を簡単に話しますと、留学して3、4ヶ月の頃は、段々生活に慣れてきて、飽きが出てくる頃だと思います。留学は3、4ヶ月が一番ベストだと言われるのも、語学の習得に加えて、その町や国の嫌な面を見ずに帰ることが出来るからかもしれません。『フィレンツェは良い場所だったよ〜』と言って帰っていく友達を見ながら、私も短期の方が良かったかなぁ。。。と、何度も思いました。
イタリアの大学に進学するという目的で留学している人や、夢のために頑張っている人にとっては、こういう気持ちは起こらないかもしれませんが、私のようにただ“留学してみたい”という目的で来た者にとっては、長いからこそぶち当たってしまう留学ブルーだったと思います。その頃は、とにかく気分転換をしたくて旅行をたくさんしました。
でも残り三ヶ月を切った今は、今を楽しむという事に上手くなり、前よりも楽に生きて行けています。やはり日本に帰りたいという気持ちもありますが、不思議な事に最近は、留学を終えることが少し寂しく思えてきました。イタリア語も、留学した頃よりは流暢に話せるようになり、日本の参考書には載っていないような細かい意味合いを、イタリア人の先生に教えてもらう度に、少しづつですが成長している様な気がします。
留学して得たイタリア語と、たくさんの経験や知識と、大事な友達と思い出を手に、胸を張って帰りたいなぁと思います。



