カナダ留学現地レポート

REPORTER

埼玉県立浦和第一女子高校出身 
アメリカ・カナダ留学コース2007年卒

マウント・アリソン大学/宗教学専攻(4年制)

2007年8月

 

マリンスポーツがさかんなハリファックス

ハリックスの港にある十字架

カナダに来て1ヶ月がたちました。ホームシックからも何とか抜け、ようやく落ち着いたところでしょうか。いま私がいるのはカナダ東海岸の半島・ノバスコシア州の州都ハリファックスです。
 
海に囲まれているせいか、マリンスポーツが盛んです。カヤックやその他もろもろ・・・。土地のアップダウンが激しい地域で、ただ散歩するだけでもいい運動になります。高いところからは真っ青な大西洋が見下ろせて、頭上には広い広い空が広がります。すっっごく気持ちのいい町です。
 
ハリファックスは小さすぎず大きすぎずとこの町の人はよく言いますが、もうちょっとだけ大きくてもいいかな(笑) まぁ、英語学校が終わったらもっと小さな町に行かなければならないんですケド。

様々な国の学生と交流

【上】ハリックス港で帆船フェスティバルが行われました
【下】アラブ首長国連邦の生徒と

今通っている 英語学校にはもちろんネイティブはいません。学校内では英語しか話しちゃいけない事になっているのでみんな英語を使うのですが、国によって英語のクセが全然違うんですね。だから「この人は中国人だなー、あの人は日本人だ」なんてだいたいわかります。
 
どの国の人の英語が一番聞きやすいか?私にとって、それはもちろん日本です。でも中国人の生徒に言わせれば中国です。今まで私が触れていたのが「英語」ではなく「日本人の英語」だったように、各国の生徒が「その国の英語」に触れていたのでしょう。それゆえ会話に多少の難はありますが、外国の人と話すのは本当に面白いです。
 
「日本人女性は男性の言うことをな~んでも聞くんでしょ?」なんて言われるんですよ!(笑)  

【上】どこにでもあるティムハートン
【下】ホストファミリー

私のクラスには一人もいませんが、アラブ首長国連邦から何人もの男の子たちが団体で来ています。
 
私はアラビアな雰囲気とか、イスラムな雰囲気が大好きなので嬉しくってしょーがないです。学校の外で彼らがアラビア語を話しているのを聞いているだけで幸せな気分になります。ダークな肌に濃い造りの顔を見ていると羨ましくなります。イスラム教の話もちょっと聞けました。いいなぁ。いつか中東に行ってみたい。そしてイスラム教の雰囲気を肌で感じたいです。
 
アラブ首長国連邦では日本の漫画やアニメが人気らしく、彼らは「ワンピース」「DEATH NOTE」「名探偵コナン」「NARUTO」「花より男子」などいろいろ知っています。日本の漫画は絵が本当にきれいだ、丁寧だってほめてくれました。日本の漫画は世界で通用する文化なんですねぇ。私も人気どころは読んでいるので漫画ネタで盛り上がります。そのせいで最近、日本の漫画が恋しくなっちゃいました・・・・。読みたいっ!

湖で泳ぐ

私がよく泳ぎにいく湖です

放課後はよく湖に泳ぎにいきます。広くて、深くて、澄んでいるとても綺麗な湖です。深いので底は見えません。でも太陽の光が差し込んで、水の中でキラキラ反射しています。そんな中で泳ぐのは最高ですっ!!
 
湖で泳ぐのは初めてだったのですが、すっかりハマってしましました。いつも遠泳します。ゆっくり、水の感触を楽しみながらただひたすら泳ぐんです。疲れると魚探しをして遊びます。この前は鰻を見つけました。捕まえようとしたけど逃げられちゃった・・・。「食べたかった」って言ったらカナディアンの子供に「うえぇっ」って言われました。美味しいのにねぇ。
 
残念ながら今はまだ英語の上達を感じられません。でもまだ1ヶ月。地道に頑張るしかないです。早く英語で難なく生活したいなぁと思います。

2007年9月

 

夏は2~3週間

Halifaxの短い夏が終わりました。もう秋の風です。終わったのは8月3日の夕方。突然、でもとてもはっきりと空気が変わりました。「一応夏だな」って(日本人の私が)認識していた期間はせいぜい2~3週間でしょうか。今では、朝起きて窓を開けると吐く息が白いんですよ!8月なのに!!
 
ノバスコシア州・ニューブランズウィック州の辺りは、カナダの中でも美しい秋を持つ地域と言われています。真っ赤になるのかなー。とても楽しみです。しかしその後は長く厳しい冬が・・・。 

散歩をしていて素敵な出来事に遭遇

【上】空が、海がでかい!
【下】アラブ正装

カナダは空がでかいです。広いんじゃなくて、でかい。「広い」なら、土地があるからって事で説明がつきますが、「でかい」のはどうしてでしょう?空に奥行きがあって、雲がとても立体的なんです。不思議~・・・と思いながら自分なりに仮説をたくさん立てていますが、いまだ答えはでません。
 
そんな取り留めない考えをめぐらせながら、よく犬と一緒に散歩をします。私にとっては大事な時間です。誰かと仲良くなることもあります。自分の思いを整理していることもあります。いっぱいいっぱいになると海辺でTOKIOのTraveling manや矢井田瞳のマワルソラなど、鼓舞する歌を歌っています(変な外人!)。
 
今までで一番楽しかったのは・・・イラクの方々が旗をふりながら喜んでいる集会に出くわしたことですね。何が嬉しいのかわからないけど楽しそうなのでずーっと見てたら誘ってくれて、一緒にご飯食べたり踊ったりしました。サッカーでイラクが優勝したそうです。カナダでイラク人と一緒にサッカーの勝利を祝う。なんてスバラシイことだ。

大学での勉強が楽しみ

【上】クラスメイト集合
【下】サーモンピンクの夕暮れ

2ヶ月間の英語学校が終わりました。私は何をするにも人より時間がかかるので、8月も末になってようやくこの学校に慣れてきたのに、もうおしまいです。この秋から大学生です。
 
さぁ意気込みは?!正直、自信はありません。JCFLや英語学校よりも大変だろうし、私の英語力はまだ十分ではないし・・・・・大学に行ったら求められるのは理解力、考察力、表現力ですよね?英語力なんて問題にさえなりません。だってネイティブスピーカーが学んでる場所なんですから。
 
でも同時に、とっても楽しみです。英語学校も楽しかったけど、でもそこは学問を学ぶ場所じゃありません。英語のスキルをのばす場所です。新しい発見をしたり、ある人の思想を聞いたりして「へぇぇ~~!」っていう驚きはありません。JCFLでも、英語そのものの授業より、英語で行われる経済学や心理学のほうがワクワクしました(英語の授業もちゃんと受けなきゃだめですよ!)。きっと大学にはそういう驚きがたくさんあるに違いない、と期待しています。

素敵な友達

ジェシーは大学で農学を勉強します

クラスメイトはみんないい人達でした。一生懸命で楽しくて親切で。私の英語は発音も語順もなってないし、言葉を選ぶまでとても時間がかかるのですが、彼らは辛抱強く待ってくれます。
 
ようやく最近、バカみたいな話で一緒に笑えるようになってきました。何人かは私と同じマウントアリソン大学に行くけど、Majorが違うし、大学自体違う人たちもいるし・・・しばらくは会えないんだなぁと思うと少し寂しいです。
 
明日はクラスメイトの中国人の友達の家に遊びに行きます。「中国料理のカレー作ってあげるよ」って自慢げに言ってたけど・・・カレーくらい私も作れますょ?特別なカレーなのかしら?まぁとにかく、楽しみです。みんな、大学で楽しく充実した生活を送れるといいなぁ!

2007年11月

 

学生の街サックビル

【上】Water fall parkという公園です
【下】哲学と宗教学の教授がいる校舎

カナダに来て4ヶ月、大学生になって2ヶ月がたちました。私がいる所は東海岸の小さな州、ニューブランズウィックの小さな小さな町、サックビルです。何もありません。誇張じゃありません。
 
町の人口は7000人と聞いていましたが、住民の方々は「そんなにいないよ。5000ってとこじゃないかな」と言います。うち2500はMount Allison Universityの学生です。多分残りは教授とその家族です。
 
小さな食品店のクラッカー売り場の前で迷ってると「選んであげよっか。甘党?それともサッパリしてる方が好き?」なんて声をかけてくるお姉さんがいます。小さな薬品店のシャンプー売り場の前で迷ってると「これ!これがお勧めなの。試してみてよ。」なんて声をかけてくるお姉さんがいます。両手に買い物袋をぶらさげてふらふら歩いていると「重そう。持ってあげる。」なんて手をかしてくれるお兄さんがいます。そして彼らはみんなMount Allisonの学生です。そんな町です。

言葉の壁

パーティーに行く支度の済んだブリタニーとたった今ジムから帰ってきた私

言葉の壁は想像以上に高いです。2ヶ月間英語学校にいたとはいえ、英語学校の先生・学生の英語と、ネイティブスピーカーの英語はまるで別の言語です。とにかく、ものすごく早い。そしてハッキリしない。唖然としました。
 
しかしいつまでも唖然としてるわけにもいかないので、なんとかネイティブスピーカーの友達を作ろうと、なんとか授業についていこうと、自分の力でできる限りのことはするように心がけています。自分から動かなきゃ変わらない世界です。でも動けば伝わることもあります(伝わらないこともあります)。動けば受け入れてもらえることもあります(受け入れてもらえないこともあります)。
 
そんな過程ひとつひとつが私を励ましたり、叩きのめしたりーけっこう大変な毎日です。「来なきゃラクだったな」って何度も思います。でも「来なきゃよかった」と思ったことは一度もありません。それはつまり、なんだかんだ言って、私はここでの生活を楽しめているからではないかと思います。

大学の勉強

初雪です。夜中だったので5-6分走り回って帰ってきました

こっちの学生は一日に10時間くらい勉強するんですよね。もっとしてる人もいます。それに加えて私は英語がまだ不十分なのでかなりキツイです。必死です。予習して授業に出ても聞き取れない、復習してもイマイチのみこめない・・・でもやるんです。諦めたらおしまいなので。
 
つい先日、中間試験が終わりました。今学期は宗教学を二つと、経済学を一つと、音楽を一つ取っています。宗教学は西洋宗教イントロダクション(つまり聖書に関係のある宗教です)と体と性における宗教的考察、経済学は微視的経済の基礎、音楽は音階分析や和音の構成―といったところです。どれも難しかった…でもまぁ頑張っただけの結果はだせました。そして週末はだいたいPubに行きます。これだけがこの町の娯楽ですね・・・。うちの大学の学生がたまって、飲んだり踊ったりビリヤードをしたりしています。お酒はあまり強くないのですが、飲むのも騒ぐのも好きなのでいいリフレッシュになっています。
 
海外のUniversityで、現地の学生に混じって同じ授業をとって、英語で同じだけの事を理解し考えなくてはいけなくて、現地の学生と同じ寮で共同生活をしてーというのは本当に大変です。それでもどーにかこーにかやっています。良くも悪くも、今までの人生で一番刺激的な環境にいるし、それこそ私が望んだことなんだから頑張らなくてはなりません。
 
最近は「はるか面白いなぁー」って笑われるようにまでなってきました。大進歩!でもそれはこの土地に慣れてない無知からくる故のボケなんですよね。カナダ人の学生が早口で気のきいた言い回しをいっぱい使って笑いをとっているのを見ると羨ましくなります。私だって面白いこと言えるんだぞー・・・日本語なら。―なんて思います。早く慣れたいな。そして同じ土俵に立ちたい。(笑いの土俵か?)
 
優しい人ばかりではありません。でも無力な自分なりに頑張っていれば向こうから寄ってきてくれる事もあります。何人かに、「冬休み、日本帰らないんでしょ?だったらうち来てよ」と嬉しい誘いもいただきました。ここにいると、自分自身が強くなると同時に支えてくれる人達の存在―自分勝手な私は今まで特に意識したことありませんでした―を強く感じます。

2007年12月

 

サンタに会いました

【上】左からガヴィー、チェルシー、私、ジェシカ、ブリタニー。
【下】モアイ像。

「はるかはクリスマスで何が一番好き?!」「昨日もその話したじゃん…」カナダ人は本当にクリスマスが大好きです。生活がクリスマス一色で染まる図は、映画や絵本では見てきましたが生で見るのは初めてです。1ヶ月ほど前から話題はクリスマスの事ばっかり。ついこの間、Sackvilleでクリスマスのお祭りがあったので行ってきました。そこでなんとサンタクロースに会いました!サンタさんの前に子供たちが列を作っていて、一人ずつ膝に乗せてもらって何が欲しいか話すのです。映画“34丁目の奇跡”でしか見たことのない情景です。私はすっかり興奮してしまって、恥ずかしながらうっかり並んでしまいました。でも残念なことに私を膝に乗せてはくれなかった…。さすがに「乗せて」と自分から言うことはできず、お話をするだけで終わりました。でも満足です。初めてサンタさんとお話しました。本当にHO!HO!HO!と笑っていらっしゃいました。
    
さてその夜の目的はクリスマスの飾りを買う事でした。でも、サンタさんと別れてからユニセフの募金を集めている人達を見かけてしまいました。日本の子供にもカナダの子供にもサンタさんは来ます。でも来ない子供達も大勢いるのです。いい子のところに来るわけじゃない、来るかどうかは親の財力だ…。そう思ったら気が変わってしまいました。オーナメントを買うのをやめて、少ない額ですが、すべて募金する事にしました。本当にサンタさんがいるのなら世界中の子供のところに行くべきだーなんて一瞬思いましたが、ユニセフの前にサンタさんに会わなかったら、すべては募金しなかったのではないかと思います。半分だったかもしれません。そう考えると、たしかにSpirit的なサンタクロースは存在していて、それが私に持ち金すべて募金させたんじゃないかしらーなんてね。
 
飾りが買えなかったので、その夜、友達に教えてもらいながら手作りで雪の結晶や星の飾りを作りました。予定とは違うけれど、なんだか満ちたりた時でした。昨夜は仲良し6人で集まってクリスマスパーティーをしました。所詮は貧しい学生なので、パーティーといっても一緒にホットチョコレートを飲みながらお喋りをするだけです。でもとっても楽しかったなぁ~。高校の(女子高でした)修学旅行の夜みたいでした。なにを話したかは…秘密です(笑)。カナダで、今までとはちょっと違うクリスマスを楽しんでいます。

大学と教会で学ぶこと

【上】雪景色です。
【下】朝のお散歩でとった写真です。

1学期を終えての感想としては、勉強すればするほどわかる経済学は文句なしに楽しいし、勉強すればするほどわからなくなる宗教学にも魅力を感じます。今回は授業自体についてではなく、それにちょっと関係して学ぶ事について書きたいと思います。
 
毎週日曜の朝に教会のミサに行くようになりました。日曜の早起きはキツイけれど、誘ってくれる友達が大好きなのと宗教学を取っているんだから行くべきだろうという義務感も混じって通っています。賛美歌を歌っている時に思うのは「この歌詞のように、心から神を信じていたら強くもなるよなぁ」という事。
 
私を誘ってくれる友達は教会で育った敬虔なクリスチャンです。優しく穏やかで、芯が強い。自分勝手に、自分中心に、沢山の人に迷惑をかけ支えてもらいながら生きている私とは正反対です。いつだったか彼女が話してくれました。「自分が何をしたいかではなく神様が私に何を望んでいるかを考えて生きてる。だから何の心配もないの。神様が守ってくれる。」強いなぁと思います。私はクリスチャンではありませんー八百万の神の国に生まれた私には、神は一つであり完全であるという観念がイマイチしっくりこないーそれでも、毎週ミサに参加してこんな人達と一緒に祈れる事を幸せだと思います。

【上】近くの公園
【下】銀世界の教会

キリスト誕生の絵を見ながら、教会で会ったおばあちゃんが説明してくれます。「あれはジーザス誕生を祝いに来た3人の王様で、それぞれ乳香と…なんだったかしら後二つ…持っているのよ」。正確には王様ではなく王様の使い東方の三博士。後二つは金と没薬です。でも言いません。トリビアやってるんじゃないんだから、そんな事どうでもいいんです。そんな事が意味を持つのは試験用紙の上でのみ。ここで大事なのは、おばあちゃんがジーザスの誕生を本当に喜んでいるという事です。
 
教科書から知って、試験のために暗記した私とは根本が違うんです。このように、カナダの小さな州の小さな町の小さな教会で、ここに来たからこそわかる事を学んでいます。来た意味があると思います。講義に耳を傾けている時も、辞書をひきながら教科書を読んでいる時も、教授とお話している時も、たしかに勉強しているのでしょう。でも「あ、今、本当に学んでいるんだな」と思うのは教会でこんな話を聞くとき、サンタさんに感化された時、友達にクリスマスの飾りの作り方を教えてもらっている時だったりします。
 
あたり一面真っ白です。今年は、ホワイトクリスマスになるでしょう。