アメリカ 憧れの
スポーツ科学留学

[ vol.4 ]

これからもっと注目される!
スポーツ科学分野の就職事情

Reporter

JCFL海外留学科 アメリカ・カナダ留学コース卒。アメリカのウエスト・バージニア大学、シラキュース大学大学院でアスレチックトレーニングを学び、アスレチックトレーナーの国家資格を取得。アメリカでアスレチックトレーナーとして経験を積んだ後、現在、JCFL教員。

スポーツが盛んな国でスポーツ科学に関する仕事は需要が高い!
海外で働くチャンスもたくさんあります。

先日のコラムで触れたように、「スポーツビジネス」が確立され、それが活発な国ではスポーツ科学系の需要は多数にあります。当然、専門性の高いスポーツ科学系は研究分野や臨床分野でも重宝され、就職活動をする上でも、コミュニケーション能力があるという前提で、大変有利です。また、「アスレチックトレーナー」も同様で、医療従事者として認められている職業ですので、外国人の身分でも、雇用主が申請を適切に行いさえすれば、就労ビザを比較的問題なく取得できるようになっています。

「耳に障害がある学生」のための大学で「アスレチックトレーナー」に!
「コミュニケーションの壁」という課題を克服するチャンス!

大学院を卒業後、アスレチック・トレーナーとして働いていた「ギャローデット大学」の施設

私自身は、実習を積んだ大学と大学院を卒業した後、世界でも大変珍しい「耳に障害がある学生」のために建てられた「Gallaudet大学」で仕事を始めました。その仕事のオファーを受け取った時は、身震いがするほど興奮したのを覚えています。なぜなら、社会人として、また医療従事者であるアスレチックトレーナーとして、耳に障害があるアスリートとのコミュニケーションが「生涯での最大の課題」だと考えていましたので、その課題を克服できる最善のチャンスがいきなり舞い込んできたことに驚きと喜びがありました。
 
アメリカの首都ワシントンDCにあるその大学では、耳に障害があるアスリートとのコミュニケーションはアメリカ手話を使いながら行います。耳が聞こえない人に普通のコミュニケーション(Verbal Communication―口語の会話)は通用しません。求められるのは、手話とそしてNon-verbal communication力(表情、態度、目線やボディーランゲージ)です。人として、社会人として、またアスレチックトレーナーとして二つの会話の形態を実践かつ実習できるのは仕事のやりがい・魅力に他なりませんでした。

サポートした選手が大会で活躍する姿を見るときが至福の時。

選手の心と身体をケア。ケアした選手が活躍する姿を見ると、喜びが込みあげてきます!

アスレチックトレーナーの職業は直接スポーツに携わりながら、選手やコーチ、医師、選手の家族など、多くの人々と関わりあうことで、選手の心身の健康をマネージメントしていきます。常に考えること、そして高いコミュニケーション能力が求められる職業ではありますが、一日たりとも同じ日がなく、毎日新しいことを学べる仕事でもあります。
 
「怪我の状態からどう全盛期の動きに戻すか」という工程表を頭の中で思考し、適材適所で重要な決断をしていくことで、選手にとって最善の選択をしていきます。そんな中で選手や医師との信頼関係を築くことができ、充実感が生まれていくことによって、誇りを持って仕事に携わることができるようになっていきます。そして、関わった選手が大会で活躍してくれる姿を見ることは至福の時で、それがやりがいとなっています。

日本でも今後「スポーツ科学」を学んだ人材は注目!

日本でもスポーツ科学系の分野で就職に関して注目度は高いのですが、ビジネスモデルがアメリカと比べて違うのと、スポーツ医学が確立されていないことから、「アスレチックトレーナー」や「スポーツ科学」の必要性はあっても、その人材を雇う立場の機関や人々の理解と、それに伴う法整備が整っていないことは事実です。
 
ただ一方、日本にとってはこれから伸びていていく分野であることが期待され、それを裏付けるのが「東京オリンピック招致」と「オリンピックのメダル数・ワールドカップでの成績を意識したスポーツ界全体の強化活動」で、今まで以上の予算が付き始めたことです。今後スポーツ科学系の注目度はさらに上がり、当然、スポーツ科学先進国で学び経験を得た人材は貴重で、今後の日本のスポーツ医学に携わっていくことになるでしょう。
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