海外で学ぶこと=コミュニケーション能力を身につけること。
留学で学んだことは社会ですぐに役立つことばかり。
言葉や文化が違う海外で勉強するということは、学位や語学を取得するだけではなく、宗教、人種、生活環境、貧富の差、障害、文化、風習、価値観、そして愛国心を超えたところで「人と人とが結びつく」ことができるコミュニケーション力を身に着けることだと思います。その能力は社会に出たときの自分の仕事の効率性と、人としての人間性に直結してくるものです。
留学でしか体験できないことは、会話でもっとも大事な「聞く」ということを、いろいろなバックグラウンドを持った人達と出会うことで磨かれていくことです。最初は英語に慣れていないために真剣に聞こうとしていたものが、英語ができるようになるにつれて、今度は「文化や宗教の違いからくる価値観」を会話の中で理解しようとする耳を持つことになるのです。日本語が当たり前な日本にいると「話す」ことに重点を置きがちですが、会話に苦労する海外であるからこそ、コミュニケーションに最も必要な「聞く」、そして「理解する」能力がつくのです。
また、医療従事者にとって、そして社会人にとって、相手を理解すること、また状況を理解することは大変重要なことです。なぜならば、「問題点を理解していなければ、問題を解決し改善していくことは不可能」だからです。留学中に多くのベテランアスレチックトレーナーの方々にお会いして、特にその中でも大学院時代にお世話になった恩師が大変重要な学問を教えてくださいました。
今まで膨大な知識を身につけていた私に、知識の使い方である「応用学」とあらゆる分野でリーダーになるために最も大事な「学問」である「思考学」と「決断学」を教えてくださったんです。それは社会人や医療従事者にもっとも必須の条件である「どんな状況でも瞬時に適材適所の対応をするのに必要な技術と能力」でもありました。留学で得たことは直接社会に出て即座に役立つことばかりでした。
留学は特別なことではありません。
自分の可能性を最大に引き出してくれる進路選択を!
ギャローデット大学のオフィスで
留学をするのは特別なことではありません。自分に適したことを学ぶための一種の手段だと考えています。‘学ぶ’ためのスタートを切る時に手段の選択肢が多いことは、プラスになってもマイナスになることは決してありませんし、選択肢が多くあるということは物事の視野が広がることにつながっていきます。留学をすると視野が広がるというのは、より多くの選択肢が土台になって、学問に携わっていくからです。語学を不安に思うのは自然なことですが、「語学はあくまで留学をするための道具」であって、留学してからは出会いにより「その先の人生に欠かせない能力の向上と技術」を身につけることができるのです。
アメリカのスポーツ「日本とアメリカの大学でどっちが就職に有利になるか」を考えるよりは、大学で「自分の潜在能力を伸ばす可能性の大きさ」を考慮するべきだと思います。やりたいこと、または学びたいことが決まっている人は、「学べる範囲」と「できることの可能性」が大きいところに行くべきです。将来の夢や勉強したいことがまだ分からない人は、「夢や学びたいことを見つけられる可能性が高いところ」に行くべきです。なぜなら自分の潜在能力を見抜くことができるのは、ごく一部の経験豊富な人間を除いては、「成長を繰り返した先に待っている自分」しかいないからです。ましてや、成績表やセンター試験や大学受験があなたの潜在能力の判断基準になることは決してありません。
私は「留学」とは「自分の可能性を最大限に引き出してくれる手段」であり、それをうまく使いこなすのは自分次第の努力以外はないと思います。このコラムが少しでもみなさんの背中を押す役目を果たしてくれれば幸いです。
“I can accept failure, everyone fails at something. But I can't accept not trying (失敗を受け入れることはできる、なぜなら皆、失敗を犯すからだ。でも、トライしないことは決して受け入れられない)-Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)”